「校内窃盗の瞬間」動画が波紋 生徒ら撮影、SNSで拡散 県千葉高、一部認める

ネットで拡散した盗難事案について説明する県立千葉高校のホームページ
ネットで拡散した盗難事案について説明する県立千葉高校のホームページ

 千葉県立千葉高校(千葉市中央区)の校内で起きた生徒による現金窃盗の瞬間を別の生徒が捉えたとされる動画がSNS上で拡散され、波紋を呼んでいる。同校は校内で現金盗難があったことや動画が生徒の撮影したものであることを認め、ホームページを通じて関係者に謝罪。一方で、「一部事実と異なる情報がある」と説明している。

 該当の動画は13日、生徒から告発を受けたとする有名ツイッターユーザーが投稿した。無人の教室内で複数のバッグを物色し、財布のようなものから中身を抜き取る生徒の様子が映っている。

 該当のツイートによると、同校で現金盗難が多発していたが、学校側が対策を取らないため、生徒らが自主的に教室にスマートフォンを設置し撮影に成功した―と説明。「窃盗犯が一切処分されなかった」「教諭が撮影した生徒らへ『動画をすぐに消せ』『警察には絶対に言うな』と口止めした」との情報もあった。

 同校は取材に、「校内で窃盗事件があったことは事実。動画は生徒が自主的に犯人捜しのために撮影した」と説明。事件があったのは1月、移動教室中で、加害生徒はこの1件のほか、学校が把握していなかったもう1件の窃盗を認めたという。動画は流出すれば生徒の人権にかかわるため、撮影した生徒に削除してもらい、学校側がデータを保管することにした。

 一方、「警察には相談しているので、生徒側の言い分として発信されているツイッターの内容には誤りがある」とネット上の「学校側が対策しなかった」などの情報を否定。同校では本年度、複数の窃盗被害を確認し、特に昨年末~今年1月は被害が多かったため、貴重品の管理徹底を指導し、職員の巡回も行っていたという。また、加害生徒は謹慎処分とし、自宅謹慎や教室外登校をさせたとしている。

 保護者同士の面会や当事者同士の謝罪の機会も設定。被害生徒には被害届を出すことを止めないと伝えたが、「謝罪を受け入れていて出す予定はなさそう」だという。

 同校は学年集会で事件を報告。生徒たちに「犯人を挙げたり処分の内容を伝えることはできないが、理解してほしい」と伝えたという。

 今回の事態に同校は「正義感の強い生徒は学年集会での説明では納得できなかったのかもしれない。厳しく処分したと言って理解させることが必要だったかもしれないが、『犯人はこの人』『こういう処分をした』と言うわけにもいかないので難しい」とし、「各方面に気遣いながらうまく着地できるようやったつもりだったが、十分な対応ができず、ご心配をおかけすることになり申し訳なかった」としている。


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