「町」と「村」の読み 自治体規定、地域差あり【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】

長生村役場
長生村役場

 約10年前に完了した「平成の大合併」で、市町村数は大きく減りました。

 始まる前の1999年に3232あった市町村数は、完了した2010年には1727と約半分に減りました(各3月末日現在)。市の数は670から786に増えましたが、町は1994から757、村は568から184にまで大幅に減り、村が存在しなくなった県も2県から13県に増えました。

 千葉県も80市町村から54市町村に減りました。市は33から37に増えましたが、町は42から17に、村は5から1に減りました。

 千葉県の場合、市は「し」ですが、町は「まち」、村は「むら」と読み、その読みは合併前後とも変わりません。千葉県にいると、「まち」「むら」が当然と思うでしょうが、全国的にみるとどうでしょうか。

 市については「し」以外の読み方はありませんが、町と村の読み方はどちらも2通りあり、地域によって差がみられます。町は「まち」と「ちょう」、村は「むら」と「そん」です。町や村の読みをどう読むかは、各自治体で規定しています。

全国的には、数だけで比較すると「ちょう」が63%と3分の2近くを占め、「まち」は37%と少数派です。

 分布をみると、関東7都県と福島・新潟・富山・大分の11都県は全てが「まち」です。山形・長野・福岡は一つを除き、石川は二つを除き、青森・秋田・熊本は三つを除き「まち」と読みます。「まち」が大半を占める都県は18となり、これも全国の約3分の1を占めます。

 地域としては、東北から関東、北陸、北部九州に多いです。一方「ちょう」は、北海道、東海、近畿、中国、四国、西九州と南九州、沖縄で多数となっています。おおまかには、北海道を除く東日本で「まち」が、西日本で「ちょう」が多いと言えるでしょう。

 その中にあって、岩手・宮城は、ほぼ半々の読みです。「ちょう」が多い道県でも、北海道・山梨・静岡・島根・佐賀には一つだけ「まち」があります。中でも北海道は129町の中で、渡島半島の森町だけが「まち」です。

 村の場合は、町以上に偏りがあり、全体では85%が「むら」と読みます。鹿児島は「そん」「むら」が二つずつです。鳥取・岡山・徳島・宮崎・沖縄の5県は「そん」で統一されています。その他の28都道府県では「むら」で統一されています。また、12府県には村が一つしかなく、長生村しかない千葉県もその一つです。

 なお、長生村民でも、自分の村を「そん」と読むと思っている人が多いです。そして日常会話でも「ちょうせいそん」と言う人が近隣市町にも多いです。これは、この方が言いやすいからだと思います。住所欄にふりがなが必要な時に、初めて「むら」が正式名称と気付く人が地元でも多いようです。

(県立長生高校・関信夫)


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