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新型コロナウイルス情報

宿泊キャンセル相次ぐ 駅伝合宿地も大打撃 富津

普段はランナーの人気合宿地として知られる富津岬周辺=2019年11月、富津市(中央学院大学陸上競技部提供)
普段はランナーの人気合宿地として知られる富津岬周辺=2019年11月、富津市(中央学院大学陸上競技部提供)
創業70年以上の歴史を持つ橫田屋旅館=27日、富津市
創業70年以上の歴史を持つ橫田屋旅館=27日、富津市

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、実業団や大学陸上部の駅伝、マラソン練習の合宿地として人気の富津岬(富津市)周辺の宿泊施設が大打撃を受けている。国内で新型コロナがまん延し始めた時期から宿泊キャンセルが相次ぎ、第2波が懸念される中で今後も集客を見通せない。宿の経営者たちは、緊急事態宣言解除後も不安の日々を送っている。

 都心から約1時間で来訪できる富津市。市内の富津岬周辺は平坦で信号機が少なく走りやすいことから、長距離ランナーにとっては絶好の練習スポットとして知られている。気候も温暖で毎年10月から4月ごろにかけては、箱根駅伝出場校や実業団チームがこぞって合宿に訪れる。

 しかし、今年は状況が一変した。戦前から続く老舗「橫田屋旅館」では、感染が広がり始めた2月下旬から駅伝チームの宿泊予約が相次いでキャンセルになった。普段は短期アルバイトを雇うほどの繁忙期だが、3代目社長の橫田勇二さん(69)は「外出自粛もあるし、選手も大会が中止になっていては合宿に来ないのは当然だろう」と現実を受け止めた。4月以降も企業の新入社員研修が取りやめになるなど影響は大きく、収入は例年の1割程度だという。

 厳しい経営状況は今年に限ったことではない。昨年1~3月はランニングコースが道路工事で通行止めになり宿泊客は激減。9、10月には2度の台風に見舞われ、屋根の一部が損壊し、被害額は400万円に上った。

 続く苦境に橫田さんは「この地域は合宿の受け入れで生活している人が多いが、ここ最近は本当に苦しい」と落胆する。「次の冬まで頑張るけど、第2波が怖い。また同じ状況なら廃業も考えている」と打ち明けた。

 今年の箱根駅伝で総合優勝した青山学院大学を受け入れる「ナカヤマイン」も状況は同じ。3月からキャンセルの連絡が増え始め「カレンダーは×印で埋まってしまった」と代表の安永美佳さん(32)。売り上げが減る中、光熱費や15部屋ある客室の維持費を払い続ける生活に「かなりきつい」とこぼした。

 多くのチームが夏場は北海道などの涼しい地域で合宿を行うため、今後も集客は見通せない。緊急事態宣言は解除になったが、宿泊を伴う外出が増えるかは不透明だ。

 二つの宿は、ともに部屋の利用者を1人にするなど感染防止対策を徹底している。今後について橫田さんは「早くワクチンが開発されて、安心して旅行を楽しめるようになってほしい」。安永さんも「宿泊、旅行業界はすぐには元に戻らないと思う。行政の支援が一回きりじゃないといい」と要望した。


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