ダニの一種国内初確認 千葉県立若松高校の生物教諭・入村信博(にゅうむらのぶひろ)さん(58) 【ひと模様】

 高校の生物教諭として教壇に立つ傍ら、約30年にわたりカタツムリの研究を続け、寄生するダニの一種を日本で初めて見つけた。昨年5月、権威ある専門誌で紹介され、自身の名前を冠した和名「ニュウムラカタツムリダニ」と命名された。「あと2年で退職という時に、神様がすてきな落とし物をくれたのかな」。小さくて“大きい”贈り物に顔がほころぶ。

 運命の出会いは2014年4月。県南地域での調査で、カタツムリに寄生するダニを小筆で採取した。大きさは1ミリの半分ほどで、当時は国内初確認のダニとは思わず、アルコールに漬けて保存していた。

 東邦大の脇司さんが種類を調べると、1990年に米国アラバマ州で見つかったダニで、世界で2例目の発見だと分かった。発見者は「本当にびっくりした」と驚きを隠せない。

 見つかったダニは、寄生するカタツムリの種類を選んだり、地域によって寄生率が異なったりと謎が多い。「科学が進んだ今でも生物の分野ではわれわれが気付いていない種がいたり、新しいことが起きている。まだまだ自然は分からないことだらけ」と研究の醍醐味(だいごみ)を語る。

 大学や大学院での研究生活を経て30歳で県立高校の教諭になり、身近なカタツムリの調査を始めた。最初の10年間は一人で試行錯誤をしたが、指導してくれる大学教授とも出会い、長年の努力が結実した。

 生徒たちには「続けることは大変だが、乗り越えると周りから力をもらえる。続けていると良いことがある」と語り掛ける。好きな言葉は「ゆっくりでも止まらなければ結構進む」。


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