命の尊さ考える一助に 我孫子在住、高井保秀さん 亡き妻の闘病記寄贈 市内図書館や中学校に

64歳で亡くなった妻の留美子さんとの出会いから別れを本にまとめた高井さん=我孫子市
64歳で亡くなった妻の留美子さんとの出会いから別れを本にまとめた高井さん=我孫子市

 我孫子市の会社役員、高井保秀さん(67)が自ら著した亡き妻のがん闘病記「瑠美子、君がいたから 二人で歩んだ人生ノート」(亜璃西社)の第2版出版に合わせ、市内の図書館や中学校に10冊を寄贈した。「多くの市民や若い人たちに読んでもらい、命の大切さや平凡な日常の尊さを改めて考えるきっかけになれば」と話している。

 高井さんは現在、横浜市の医療機器開発会社で監査役を務める。大阪府に生まれ、北海道大学卒業後、入社した食品輸入商社で妻の留美子さん(本名)と出会った。留美子さんの肺腺がん発病を機に61歳で取締役を退任し、自宅などでの闘病生活を二人で歩んだ。

 留美子さんのがんは脳へ転移し、がん性髄膜炎の診断を受けた。半年後、緩和ケア病棟での闘病が始まった。「病状がどう進行するのか」など情報が少なく、手探りで看病を続けた。その際「妻の症状の進行を記録に残せば、誰かの役に立つのでは」と執筆を思い立った。

 病棟にパソコンを持ち込み、事実だけを分かりやすく書いた。高井さんは「書くことで心を平静に保ち看病し続けることができた。妻が書かせてくれている感じだった」と振り返った。

 4年半にわたり、がんと闘病した留美子さんは2018年3月、64歳で亡くなった。本では2人の出会いから愛犬との生活、みとりまでをつづった。闘病生活を客観的に書き進めるために、登場人物は一部を除き仮名にした。

 「懸命に生きた妻の生き様を知ってほしい」と第1版は妻の友人らに送った。第2版は「若い人たちが人生を考える一助になれば」と千葉県や出身の大阪府、学生・新婚生活を過ごした北海道の各公立高校など計690校、看護関係の学校計230校にも寄贈することにした。

 留美子さんとよく散歩した手賀沼湖畔の五本松公園には愛犬と2人の連名でベンチを寄贈した。「妻を亡くし寂しいが、良い思い出がたくさんあり感謝の気持ちの方が強い」と話している。340ページ。税抜き1500円。


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