イノシシどこに消えた? 大多喜町で捕獲数激減 台風で山の環境に変化か

在庫が少なくなったイノシシの加工品の冷蔵庫=大多喜町の「道の駅たけゆらの里おおたき」
在庫が少なくなったイノシシの加工品の冷蔵庫=大多喜町の「道の駅たけゆらの里おおたき」

 大多喜町で、イノシシの捕獲数が激減している。山や農地を荒らす有害獣は、捕獲後に町内の道の駅で食肉処理。名物のジビエとして販売しているが“仕入れ不足”により在庫は残りわずかだ。昨秋の台風19号後にわなに掛からなくなったといい、町の担当者は「倒木などで山の環境が変わり、生息域が変わったのでは」と推測。「このままでは個体数が増えてしまう」と危機感を強めている。

(勝浦支局 廣田和広)

 町内の「道の駅たけゆらの里おおたき」では、町内や近隣地域でわなに掛かったイノシシを7、8月を除いて受け入れ、解体して食肉や加工品にして販売している。丁寧に下処理をしており、野生獣肉特有の臭みがなく人気の商品だという。

 気温の低下とともに脂がのる11月半ば~翌年3月がシーズンで、例年、月10~20頭を処理している。だが、昨年11、12月は3頭、今年1月は22日時点でゼロ。狩猟者がこれまで通りにわなを仕掛けているのに成果が出ないという。

 道の駅の猪(いのしし)加工主任、三好太一さん(37)は「10月の台風19号の被害後から捕れなくなった」と振り返る。さらに、捕れたイノシシの体重は軽く脂が少ないといい「食糧事情が悪いのではないか」と指摘。捕獲減少の影響は名産品不足を招き、ブロック肉やスライス肉は売り切れで、ウインナーやジャーキーは店頭の在庫のみになった。

 町全体でも、もちろん捕獲数は減っている。町産業振興課によると、2019年11月のイノシシ捕獲数は44頭(18年76頭)、同12月は41頭(同124頭)となっている。担当者は「倒木などで歩くルートが変わったのでは」と昨秋相次いだ台風襲来を理由に挙げる。

 捕れても若いイノシシが多いといい、「長く生きているイノシシがわなについて学習し、回避能力が付いた可能性もある」との別の見方も。

 町内ではイノシシの足跡が確認されているだけに、町の担当者は「生息数は変わっていないはず。このまま捕獲が進まなければ増え続ける」と不安を募らせている。


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