幻の「上総日記」発見 地元有志が解読本出版 江戸時代の君津地域描く

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上総日記の解読本を刊行した八田さん(中央)ら=木更津市
上総日記の解読本を刊行した八田さん(中央)ら=木更津市

 江戸時代の国学者、岡田真澄(1783~1838年)が記した幻の紀行文「上総日記」が見つかり、木更津市の古文書サークル有志が解読本を刊行した。主に君津地域(木更津、君津、富津、袖ケ浦市)の江戸時代の様子が読み取れる貴重な資料という。

 岡田真澄は江戸在住の国学者・歌人で、弟子の一周忌の墓参を兼ねて1831(天保2)年に木更津を訪れた。以来、35(天保6)年まで計5回にわたり、鹿野山や鋸山など君津地域の名所旧跡を旅行した。

 その紀行文「上総日記」は、1927(昭和2)年発行の書籍「君津郡誌」に内容の一部が引用されていたが、原本は所在不明のままで、郷土史愛好家からは「幻の名著」ともいわれていた。

 木更津市の出版社「やまがら企画」の上杉義隆さん(73)が原本を探したところ、国立国会図書館に岡田真澄の「月園翁旅日記」という稿本があり、「上総日記」が収録されていることが2016年に分かった。

 「きさらづ古文書サークル」の有志らが約2年かけ、「まるでアラビア文字」のような難しい文体を解読。鹿野山の宿で「しほで」という山アスパラと「鹿の爪」という茶が出されたことや、小糸川でアユを手づかみで捕らえる様子などがつづられていたことを読み解いた。

 庶民の暮らしぶりや地域の歴史が垣間見える好著を多くの人に知ってもらおうと、有志で上総日記刊行委員会を組織。同会の編著として、解説を付けた解読本を400冊発行した。

 刊行委員会の八田英之代表(74)は「決して読みやすくはないが、声に出すと分かりやすくなる。郷土をいとしく思う人に目を通してもらいたい」と呼び掛けた。
 定価1800円。問い合わせは発行元のやまがら企画(電話)0438(36)4701。