都市部と郡部で偏り大きく 鉄道乗車人数から見る千葉県の姿 【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】

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 日頃、鉄道を利用している方は多くおいででしょう。では、どれくらいの人が利用しているのでしょうか。

 千葉県にはJR12路線の他、19もの民鉄(私鉄)線等の路線が通っています。表は、それらの乗車人数の一日平均を表しています。JRは約194万人、民鉄線等は約167万人、合計約361万人です。千葉県人口(約620万人、平成26年度末)の6割近くの人が毎日鉄道を利用している計算です。

 路線別で多いのは、JR総武線、JR常磐線、東武野田線の順です。少ないのはJR久留里線、いすみ鉄道、銚子電鉄の順です。JR総武線はJR久留里線の約880倍もの乗車人数があることになります。

 次に駅別に見てみましょう。別会社の駅が直結・直近の場合に併せて「1駅」とした時には、1位西船橋(4社約32万5千人)、2位船橋(3社約23万7千人)、3位柏(2社約18万9千人)、以下松戸、千葉の順です。どれも地域人口が多く、複数路線が乗り入れている駅です。

 逆に乗車人数が一番少ない駅は東総元・小谷松(いすみ鉄道)・飯給(小湊鉄道)の3駅で、一日平均4人です。10位までに、いすみ鉄道が7駅、小湊鉄道が2駅、銚子電鉄が1駅という構成です。一日乗車人数100人未満の駅は、JRで4駅(太海・江見・和田浦=内房線、鵜原=外房線)、銚子電鉄で5駅、小湊鉄道で9駅あります。いすみ鉄道では14駅中、10駅もあります。

 実は乗車人数が不明の無人駅がJRに30もあります。内訳は久留里線が10駅(13駅中)、成田線が7駅、総武本線と外房線が4駅、内房線が3駅、東金線と鹿島線が1駅です。これらは当然、乗車人数は少ないです。

 ここまでくるとお分かりのように、鉄道乗車人数は県都の千葉市以西・以北の東京近接都市部地域が極めて多く、以東・以南の郡部・半島部が極めて少ない、県全体では偏りが非常に大きい状況です。

 この状況は列車のダイヤにも影響を与えています。例えばJR内房線は、2015(平成27)年に特急さざなみが減便・区間短縮されました。17(平成29)年の改正では日中時間帯の館山方面列車を千葉発から木更津発にして、東京・千葉からの快速と君津で接続するダイヤになりました。

 乗車人数が少ないことは経営に直結します。しかしローカル民鉄では、逆境を改善すべくさまざまな工夫と努力を重ねています。トロッコ列車(小湊鉄道)、グルメ列車(いすみ鉄道)、ぬれ煎餅(銚子電鉄)など、大きな話題を呼びました。

 普段何気なく利用する鉄道にも、地域の特性や社会状況の変化などが反映されています。鉄道は「社会の鏡」の一つと言えます。

(千葉県教育庁・佐瀬一生)