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浮世絵の所蔵品が充実 千葉市美術館 【シリーズちば旅・アート散歩編】

喜多川歌麿「納涼美人図」1794~95年(千葉市美術館蔵)
喜多川歌麿「納涼美人図」1794~95年(千葉市美術館蔵)
鞘堂建築の千葉市美術館・中央区役所
鞘堂建築の千葉市美術館・中央区役所
鈴木春信の浮世絵を中心とした展覧会
鈴木春信の浮世絵を中心とした展覧会

 芸術の秋。アートな気分に浸るいい季節。ふと思い立ち、千葉県内の幾つかのスポットを巡ることにした。まずは千葉市美術館(同市中央区中央3の10の8)。JR千葉駅から徒歩15~20分ぐらい。この距離感が何とも微妙なのだが、便利なのは同駅東口から出ている循環バス「C-bus」。美術館前にも停車するので、これに乗れば迷うこともない(大人100円、小学生以下50円)。

 建物は白い壁と太い円柱が印象的な外観で、規模も大きい。というのもこの建物は美術館専用ではなく複合施設なのだ。11階建てで1、2階にホール、その上に中央区役所、さらにその上の階に美術館がある(展示室は7、8階)。

 ホールは円柱が8本並びクラシックな雰囲気だ。元々は旧川崎銀行千葉支店の建物(昭和2年建築)。銀行で使わなくなり、跡地は一時期市民センターになった。1995年の美術館・中央区役所の開館後は「さや堂ホール」と名付けられコンサート会場などとして使われている。

 美術館・中央区役所は、この旧銀行の2階建て建物をすっぽりと外側から包み込むようにして造られたわけだが、こうした建築物は「鞘(さや)堂」と呼ばれる。刀を包む鞘にちなんだ呼び名という。これがホールの名の由来となった。

 太平洋戦争で空襲にあうなど、同市内には明治~昭和戦前期の近代建築があまり残っておらず、これを保存する意味合いを含め旧銀行の建物を生かした設計が求められた(設計者は建築家・丹下健三氏の薫陶を受けた元千葉大教授の大谷幸夫氏)。市では2020年をめどに中央区役所を移転し、美術館のスペースを広げる考え。

 同館では今、江戸時代の浮世絵師・鈴木春信(1725?-70年)の大規模な展覧会を開催中(10月23日まで)。元々浮世絵のコレクションが充実していて、展覧会もコンスタントに開いている。同館の所蔵作品数は約9500点。このうち浮世絵だけで約3千点を数える。この充実ぶりは江戸期の浮世絵師・渓斎英泉の作品の収集で知られた今中宏氏のコレクション255点を市が1985年に購入したことがきっかけ。同館開館の計画が進む過程で、浮世絵を“売り”の一つにしようと決まった。

 北斎、写楽、広重、国芳…。数ある浮世絵所蔵品の中でも喜多川歌麿の肉筆画「納涼美人図」(1794~95年)は貴重な1品。美人画で知られ版画を多くものした歌麿だが、肉筆浮世絵も数は少ないものの残している。これはその名品という。直近では2015年の所蔵名品展で公開した。ただし同館は常設展示室がなく現在は非公開。また、浮世絵は外光に触れると色落ちが生じるリスクがあり展示日数そのものに限度がある。次の公開が待ち遠しい。ちなみに同館は1960~70年代の日本の現代美術の所蔵も豊富だ。

 同館の周辺には千葉神社や、ミニシアター系の映画を好んで上映する千葉劇場、大型プラネタリウムがある施設「Qiball(きぼーる)」など好スポットが多い。飲食店も多彩にそろい、街歩きにうってつけのスポットだ。

  (文化部・日暮耕一)

◆春信、無垢な子好む

 鈴木春信は、浮世絵が本格的カラー化(多色刷り木版画技術の開発)を迎えた最初期に活躍した絵師。作品は好評を博し、浮世絵の大衆化にも貢献した。鋸南町出身の菱川師宣が浮世絵の始祖なら、春信はいわば新時代の申し子。多色刷り木版画の制作期間は晩年の約5年と短かかったものの色鮮やかな多くの作品を残した。

 千葉市美術館で開催中の展覧会場には春信の浮世絵約100点が並んでいる。米国のボストン美術館所蔵作品がその大部分を占める。目を引いたのは人物描写。中性的で無垢(むく)な印象を漂わせる少年少女の絵が実に多いのだ。江戸の人々は、現代のアイドルの写真集を見るような感覚で春信の絵を楽しんでいたのだろうか。

◆紹介メモ

 ◇千葉市美術館「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」 (時)10~18時(金・土曜日は20時まで、入場受け付けは閉館の30分前まで)(休)10月2日(料)一般1200円(大学生700円、小・中学生と高校生無料)(問)(電話)043(221)2311

 ※学芸員による無料講座①「春信の魅力 鑑賞のポイント」30日午後2時~②「所蔵作品展で見る江戸絵画-春信の時代」10月14日午後2時~(いずれも千葉市美術館11階)


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