県都千葉 路線バス減便相次ぐ 住民の足、運転手不足影響 バス会社「給与増へ支援策を」 【地方発ワイド】

千葉中線と都賀線の存続や代替交通を求め市側に要望した木村さん(右)ら地元住民=千葉市役所
千葉中線と都賀線の存続や代替交通を求め市側に要望した木村さん(右)ら地元住民=千葉市役所
人手不足で運休を行っている平和交通(ビィー・トランセHD提供)
人手不足で運休を行っている平和交通(ビィー・トランセHD提供)
人手不足による運休を知らせる平和交通のチラシ(ビィー・トランセHD提供)
人手不足による運休を知らせる平和交通のチラシ(ビィー・トランセHD提供)

 全国的にバス運転手不足が深刻化する中、県都の千葉市でも路線バスの減便・廃止が出始めた。同市緑区などで路線バスを運行している千葉中央バス(同区)は10月から2路線で大幅な減便を実施。いずれも来年4月に廃止の方針を示しており、住民からは「出歩けなくなる」と困惑の声が上がる。運休や減便をするバス会社は他区にも広がっており、住民の“足”の確保が喫緊の課題だ。

(報道部・佐藤楓)

◆「出歩けなくなる」

 大幅減便があったのは千葉中線と都賀線。緑区の大椎台団地とJR土気駅を結ぶ千葉中線(2キロ)は従来の平日32本から3本に、鎌取駅と都賀駅を結ぶ都賀線(14キロ)は平日35本から8本に減った。同社によると、来年4月以降はいずれも廃止する見通しだ。

 JR土気駅から約1・8キロの大木戸台団地に住む木村恵子さん(76)は「廃線だけは避けてほしい」と話す。病院やスーパーが集まる同駅までは歩くと約20分かかる。同地域を運行するタクシーも少ない。木村さんは自家用車を運転することもあるというが「数年後には免許返納を考えていた。返納のタイミングを考え直さないと」と表情を曇らせた。

 木村さんら地元住民でつくる「大椎台団地・大木戸台団地の公共交通を守る会」は11月、市に両線の存続や代替交通を求める要望書と732人分の署名を提出。木村さんは「出歩けない高齢者が増える。署名の重みを受け止めて」と訴えた。

◆悪循環で解消遠く

 減便の背景にあるのは運転手不足だ。同社が8月、市や県に対して廃線方針を示した際、新型コロナ禍で外出制限が続きバス利用者が減少し赤字が拡大したことや、運転手不足で路線を維持するのが困難などと理由を説明したという。

 人手不足に苦しむのは同社だけではない。ビィー・トランセグループの平和交通(稲毛区)も11月から、運転手不足から花見川区のにれの木台中央と美浜区のJR稲毛海岸駅を結ぶ路線を当面運休することを決めた。20年以上にわたり1時間に1本、住宅街と同駅間を運行してきた同路線。運転手不足が解消すれば、すぐに再開したい考えだが見込みは立っていない。

 ビィー・トランセHDによると、グループ会社3社が現在運行している全15路線を、現状の本数で維持していくには運転手が約30人足りていない。「就業時間が不規則でワークライフバランスを重視する若者には就職先に選ばれず、利用者減で収入も減り離職するベテランも多い。悪循環が続いていて打開策を模索している」と同HD担当者。さらに人手不足が続けば、他路線でも運休や減便を考えざるを得なくなるという。

◆多様な採用開始も

 同HDでは本年度から、時短勤務も可能な正社員採用を開始。多様な働き方を選択できるようにしたほか、大型2種免許の取得費用も全額補助している。大胆な変革を打ち出したところ、約30件の問い合わせがあり、うち数人は採用に結びついたという。

 それでも、路線を維持するのに十分な運転手数ではない。担当者は「人の命を預かる重要な仕事だが、負う責任の割に給与が低い。日ごとに仕事が完結するなど他の仕事にないメリットも多いので、運転手がやりがいを持って継続的に働けるよう、給与アップにつながる支援策を行政に期待したい」と話した。

 市は、市内で路線バスを運行する10事業者に人手不足の状況などの聞き取り調査を実施中。市交通政策課の担当者は「今後どのような支援ができるか検討していきたい」としている。


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