新卒11社が積極採用 県内コロナ苦境も「変革に若者を」 経産省公表

新卒採用を続けている富洋観光開発が運営する観光施設「ザ・フィッシュ」=富津市金谷
新卒採用を続けている富洋観光開発が運営する観光施設「ザ・フィッシュ」=富津市金谷

 経済産業省は15日までに、新型コロナウイルス流行下でも積極的に新卒採用を続けている県内の中堅、中小企業11社を公表した。各地の魅力ある企業の情報を提供し、就職難に直面している学生を支援する。コロナ禍で苦境が続く観光業の経営者は「業態の変革が必要。若い人に来てほしい」と新卒採用を継続する理由を語った。

 経産省が「地域未来けん引企業」や「グローバルニッチトップ企業」などに選定している各地の優良企業の中から、採用活動を継続している企業を一覧にした。全国で889社を公表。昨年11月に第1弾として発表した503社のリストを拡充した。

 千葉県内では製造業や不動産業など11社が公表された。複合サービス業「富洋観光開発」(富津市)は、鋸山の麓で総合観光施設「ザ・フィッシュ」などを経営。コロナ禍で昨年4、5月は休業を余儀なくされ、その後に個人客は戻ったものの、ツアー客はほぼゼロが続く。1~3月の県南地域は早春の観光シーズンだが、緊急事態宣言の再発令で客足は再び落ち込んだ。1月の売り上げは例年の5~6割程度に低迷する見込みという。

 それでも新卒採用を続ける理由を鈴木裕士社長(59)は「コロナはいずれ収まる。その時に人がいないとどうしようもない」と説明する。さらに、「コロナ前は人材難だったが、今は採りやすくなった。収束したらまた同じ状況になりかねない」と先を見据える。

 これまで、旅行会社に多額の手数料を支払うツアー客の受け入れは「利益が出るかどうかという感じで、無理をしてやっていた」といい、収束後は積極的な受け入れからの転換を視野に入れる。鈴木社長は「業態自体も変革する必要がある。古い人間だけでは難しいので、若い人に来てほしい」と力を込める。本年度の採用はいったん終了したが、募集は締め切っておらず、良い人材がいれば登用するという。

 新型コロナの打撃で業績が悪化し、多くの企業は新規採用数を絞っている。文部科学省などによると、昨年10月1日時点の大学生の内定率は前年より7ポイント低下。リーマン・ショックの影響を受けた2009年以来の落ち込み幅となった。ただ事業を拡大している業種もあり、以前から人手不足に悩んでいた企業は採用拡大の好機と捉えている。

 中堅、中小の採用活動は大手よりも遅く、年度末まで続ける企業も少なくない。経産省は民間の就職情報サイト、マイナビとも連携し、リスト企業を紹介する特集コーナーを設けている。

 21年度税制改正大綱には、新規採用を増やした企業の法人税を控除する措置を盛り込み、税制面でも後押しする。


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