8月から要塞上陸ツアー 富津「第二海堡」 観光資源、活性化に期待 国交省など定期就航目指す

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東京湾に浮かぶ要塞「第二海堡」=富津市
東京湾に浮かぶ要塞「第二海堡」=富津市
「第二海堡」に残る砲塔観測台
「第二海堡」に残る砲塔観測台

 国土交通省や神奈川県横須賀市などは、明治から大正にかけて首都防衛のため東京湾に建設された海上要塞(ようさい)「第二海堡(かいほう)」(富津市)の上陸ツアーを8月から試験的に実施する。ルートや安全性を点検し、2019年度中の定期就航を目指す。地元の富津市でも有効活用を目指す任意団体「東京湾海堡ファンクラブ」が存在するほか、周辺の豊かな漁場で取れた魚介類を使った「海堡丼」があり、観光資源として活用に期待が高まっている。

 国などが管理する公的施設を地域の観光資源として活用する政府の施策の一環で、訪日外国人客を誘致する狙いもある。

 国交省や横須賀市は市役所での協議会で、市内の桟橋を発着するツアー事業者を7月中に決める方針を確認。上地克明市長は「新たな周遊ルートを創出し、集客を促進したい」と話した。

 第二海堡は、横須賀市と富津市に挟まれた東京湾の入り口にある。横須賀市の沖合約7キロで、現在は立ち入り禁止。砲台跡や高度な土木技術を駆使した石積みが残っている。非日常の景色を楽しめることから、同市は上陸ツアーで世界文化遺産の端島炭坑(通称・軍艦島、長崎市)のように多くの観光客が来ることを期待している。

◆第一海堡も活用を

 富津市に拠点を置く「東京湾海堡ファンクラブ」は02年に設立。約100人の会員を抱え、定期的な海岸清掃や研究会、近隣の関連施設の見学会を開いて自治体などに保全を働き掛けてきた。小坂一夫会長(71)は「明治時代に地元の人々も大勢動員され造った施設。富津岬からも見えて愛着がある。第一海堡は劣化が進んでいるので、なんとか保全してもらいたい」と語る。会の設立から10年以上が経過し、活動は停滞気味だったというが「横須賀市が動いたことで、ようやく進展する」と期待を寄せた。

 海堡の周囲は潮の干満が激しく豊かな漁場でもある。富津市では地元の漁業資源を生かした「ふっつ海堡丼フェア」を毎年秋、市商工会が主催している。

 市も、16日に横須賀市で開催される関連イベントを後援するなど「これを機会に観光資源としての活用を考えていきたい」(富津市商工観光課)と意欲。より市に近い第一海堡の活用も視野に入れるが、市では既存のクルーズ船が就航していない上、第二よりも保存状態が悪く、管轄省庁が財務省で第二と異なる点などを課題に挙げている。

◇海堡 首都防衛のため、東京湾口に3カ所造成された人工要塞島。旧日本陸軍の基礎を築いた山県有朋も構想に関わった。富津岬の沖合約1・5キロにある第一海堡は1890年、その約2・5キロ西の第二海堡は1914年、神奈川県横須賀市沖の第三海堡は21年にそれぞれ完成。現存する第一、二海堡はともに立ち入り禁止だが、第二はタンカーの船員などに向けた消防訓練施設として使用。第一は近年まで干潮時に歩いて渡ることができた。