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芦田愛菜、6年ぶり主演作で備わった“思慮深さ”「すべてを伝えることが演技ではない」

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6年ぶり主演作で備わった“思慮深さ”を語った芦田愛菜  撮影:Eri Okamoto

 10月9日公開の映画『星の子』で6年ぶりに主演を務める女優・芦田愛菜(16)。2010年放送のドラマ『Mother』で虐待を受ける少女を熱演し、ドラマ『マルモのおきて』(11年)などの人気作品に出演し、名子役として世間に名を広めた。昨年11月には『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』で祝辞を読み上げるなど、現在ではその成長した姿が話題にのぼることも多い。16歳となった彼女が、女優として本作にどのような思いを持って挑んだのか。その胸の内に迫った。

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 本作で芦田が演じるちひろは、“あやしい宗教”を深く信じている両親のもとで過酷な青春を過ごす中学3年生。その両親を演じるのは、14年ぶりに夫婦役で共演する永瀬正敏と原田知世。ちひろの成長を愛情たっぷりに見守る一方、病弱だったちひろを救った“水”と、その水を販売する宗教を深く信じてしまったことで、日に日に貧乏になっていく。過酷な青春を過ごす少女という役どころだが、自分のイメージした“ちひろ”を作り上げるために、自らの提案で髪を30センチ以上カットした。

■大森立嗣監督から「託してくださる気がした」

 メガホンをとったのは、第35回モスクワ国際映画祭・審査員特別賞を受賞した『さよなら渓谷』(13年)、樹木希林さんの遺作となった『日日是好日』(18年)などを手掛けた大森立嗣監督(50)。大森監督からは「あまり役を作り込まないように」と要望を受け「役作りという役作りはあまりしていなくて、自分だったらどう行動するか、感じた通りにお芝居ができればいいなと思っていました」と自然体で臨んだ。

 大森監督からは具体的な指示はあまり受けなかったようで「課題というか、ちひろになるためのヒントをいただいた気がします。不安になる部分もありましたが、役について委ねてくれる、託してくださる気がして監督と2人で作り上げている感じがしました」といい“ちひろ”という女の子像を仕上げていった。

 完成した作品を実際に見た感想を聞くと「原作を読んだとき、演じたとき、第三者として見たときの雰囲気は違うものになっています。演じているときは、ちひろと時間が過ぎていくような感じですが、完成作品を見るとちひろの心の揺れが演じていたとき以上にわかりました」と、客観的な視点ならではの気づきもあったようだ。

■ポジティブに考えることの大切さ「『自分はできるはずだ!』と言い聞かせる」

 「台本を読んだとき、自分にとって“信じる”とはなにか。それがひとつのテーマになっているのかなと感じました」と本作に出会った段階で『信じる』の意味を考えるきっかけになったと話す。9月3日に行われた完成報告イベントでは、「揺るがない軸を持つことは難しい。だからこそ人は『信じる』と口に出して、成功したい自分や理想の人物像にすがりたいんじゃないかなと思いました」と芦田の中で見出した答えを熱弁し、ネットでは多くの共感を集めた。

 「作品を撮影している間はちひろの気持ちになりきっているので、私としての『信じる』は何かを考える余裕はありませんでした。撮影が終わって、映画を見て、自分で考え直したときのひとつの着地点。これから結論も変わってくるかもしれませんし、今のひとつの結論ですね」とじっくりと考えた中、見つかったひとつの答えだ。

 芦田自身、なにかにすがりたくなる瞬間があるのか聞いた。

 「私は心配性なので小さなことであっても自信が持てず、どうしても不安に思ってしまうことがあります。不安に思う自分はどこかにいて、そういうときこそ、自信を持つようにします。『失敗したらどうしよう』ではなく『できるはずだ!』と。前向きに考えようとしても、なかなか難しくてどうしようと思ってしまう自分もいますが(笑)」と、これまでの経験を糧にポジティブに考えることの大切さを説いた。

■「すべてを伝えることが演技ではない」女優としてのネクストステージ

 「『信じる』について考えるいい機会がいただけました」と『星の子』との出会に感謝し、芝居でも新たな地平が開けたと話す。「今回、演技を通してプラスをしていくことだけでなく、引き算やマイナスをすることも大事だと気付かされました。すべてを伝えることが演技ではない。普段はふわっとしているちひろが、どこかで感情を爆発させてメリハリを見せることで、気持ちが深まりました。プラスだけでなく、引き算の大切さも教えていただきました」とこれからの演技の糧にしていく。

 『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』での祝辞、そして『信じる』という言葉の意味。年齢らしからぬ思慮深さに“芦田愛菜さま”“芦田愛菜さん”と世間からは敬意を込めてさまざまな呼名が上がっているが、本人は「なんと呼んでいただいても(笑)」と笑顔を見せる。名子役として愛された「愛菜ちゃん」は、いつしか演技にも言葉にも経験が彫り刻まれ、周囲に感銘・影響を与えられる存在となった。“女優”としてのネクストステージでどのような表現者となるのか。これからも期待し続けたい。

◆芦田愛菜(あしだ・まな)2004年6月23日生まれ 兵庫県出身
日本テレビ系ドラマ『MOTHER』に出演し、天才子役として話題を呼ぶ。『ゴースト もういちど抱きしめたい』(10年)で「第34回 日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞。連続テレビ小説『まんぷく』では語りを担当。そのほか、映画、ドラマ、CM、バラエティ番組など多くの作品で活躍中。