ORICON NEWS


タイのお土産が主人公に? 厳しい修行から日常まで ミニカー写真家が“リアル”に追った僧侶とは?

  • LINEで送る

木の下で瞑想する僧侶(フィギュア)

 威厳を感じさせながらも、どこか柔らかい表情で人々を見つめる。厳しい修行を積んできた高僧と思われる人物が来日…と思いきや、実はこれはフィギュア。ミニカーを夜景などの風景をバックに撮影し、本物の車さながらのリアルな写真がSNSで注目を集めている写真家のE.P.氏が、僧侶のフィギュアをさまざまなシチュエーションで撮影を行い、発表している。リアルな写真を追究する写真家と出会った、リアルすぎる僧侶のフィギュアの行く末とは?

【写真】修行とはこういうものじゃ!荒野で瞑想する僧侶ほかE.P.氏撮影のリアルすぎる僧侶&ミニカー(全21枚)

「日本のいろいろな景色を見せてあげよう」から撮影スタート

 E.P.氏がこの僧侶のフィギュアと初めて出会ったのは2018年10月。友人の“仲介”があって出会い、ある思いが芽生えたという。
「友人がタイ王国に旅行に行った時、お土産で買ってきてくれたものなんです。タイ王国では僧侶を非常に尊敬していて、ステッカーやポストカード、ジグソーパズルなんかも売っているなかで、これを私にくれて。せっかく縁があってうちにきてくれたんだから、いろいろな日本の景色を見せてあげようと思って撮り始めました」

 ミニカーの撮影では、事前にロケハンをして景色に合うミニカーをイメージするなど、事前に準備することが多いそうだが、“僧侶”の撮影では撮影場所を決めずに出かけるついでにというケースが多いという。
「ちょっとした小旅行に行く時に、僧侶を一緒にお連れして、行く先々で出会った風景を一緒に楽しむような感覚ですね。撮るたびに、微妙な角度や光の当たり方で、表情が全然変わって見えるので、それを見て『この場所は気に入ってくれたのかな』とか「ここはあんまり楽しくないのかな」と思ったりしています。ミニカーを撮る時は、絵作り重視で余計な物が写らないように撮るんですが、僧侶の場合は、その場にあるものはそのまま写るように撮っています。カメラの設定やアングルも、それまで試さなかった方法をいろいろ試すようになったので、僧侶を撮影する前と後でミニカー撮影の方も幅が広がったような気がします」

 広がったのはE.P.氏の撮影技術だけではない。僧侶の撮影をしていると、さまざまな人との出会いが生まれたという。
「公園で撮影していたときに、遊びに来ていたお婆さんが拝んでいってくれたり、タイ料理屋の店員さんがとても喜んで『この僧侶はルアンプー・トー(タイ王国では、年を重ねた徳の高い高僧を「ルアンプー」「ルアンター」と呼ぶ習慣がある)だ』と教えてくれたり、初対面の方との間で交流が生まれました。その時は、僧侶をお連れできて良かったと思いました」

大切なのは、僧侶をおもてなしする気持ち

 E.P.氏の“僧侶”に対する言葉遣いを見てもわかる通り、非常に丁寧。僧侶への尊敬の念を感じさせる。
「僧侶をおもてなしする気持ち、一緒に楽しむ気持ちを大事にしています。そして何より、タイ王国や仏教を敬う気持ちですね。特に仏教や僧侶は、タイ王国の方々にとって、非常に重要で尊重されているものなので、できる限りその考えに寄り添いたいと思っています。この僧侶は僕の人生を見守ってくれている、とても大切な存在です」

 今後、この僧侶はどうなっていくのだろうか?
「具体的なことは特に決めていないですが、今後も、僧侶と一緒に色々なところに出かけていきたいですね。タイ王国では、僧侶フィギュアを手放すとき「かっこいい木の下に埋める」ということなので、最期はタイ王国に連れ帰って、現地の木の下に埋めてあげようと思っています」

 僧侶に出会ったことで、自身の見識が大きく広がったというE.P.氏。写真家として目標もできたという。
「写真についても、自動車やタイ王国の文化についても、まだまだ知らないことばかりなので、もっと勉強していきたいです。ありがたいことに、ここ数年はフォトコンテストで賞もいくつかもらえるようになったのですが、やはり『変わったことをしている』ということで評価されている部分が大きいと思うんですよ。被写体の力に頼っているというか。なので、将来的に、ミニカー野外撮影がジャンルとして定着して、その中で作品として評価できるような写真を目標にしています。
ただ、それにはまだ技術や知識が、撮影についても、被写体に対しても、全然足りてなくて。だから、もっと理解を深めて、人の心に残る写真が撮れるようになりたいですね」