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佐藤寛太、主演映画の主人公に「等身大の自分」を重ねて 映画『いのちスケッチ』

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地元・福岡県を舞台に、閉園危機の小さな動物園で働く青年の成長を描く映画『いのちスケッチ』主演の佐藤寛太(劇団EXILE) (C)ORICON NewS inc.

 2015年に劇団EXILEに加入し、さまざまな映画やドラマに出演する佐藤寛太。11月8日より福岡県で先行上映スタート、同15日より全国で順次公開される映画『いのちスケッチ』(瀬木直貴監督)で主演を務め、「撮影中、自分と向き合う時間が持てて、俳優として活動してきたこれまでの自分、等身大の自分を確認することができた、特別な作品になりました」と、話している。

【動画】映画『いのちスケッチ』予告編

 同映画は、福岡県大牟田市に実在する、世界的にも珍しい動物福祉に特化した動物園を舞台に描く、若者の挫折と成長の物語。佐藤は、漫画家になる夢に限界を感じ、故郷の福岡に帰ってきた主人公・田中亮太を演じた。

 故郷に帰ってきたものの、実家に頼れず、旧友の部屋に居候するしかなかった亮太が、軽い気持ちで始めたのは、地元の動物園でのアルバイト。その仕事を通して、園長の野田(武田鉄矢)、飼育員の仲間、獣医師の石井彩(藤本泉)ら、たくさんの人と出会い、初めて動物の命について考えるようになる。そして、家族や自分自身とも向き合い、再び一歩踏み出す勇気を取り戻していく。

 「亮太は口下手で、つまりせりふの量としては多くはなかったのですが、だからこそ、丁寧にしっかり伝わるように心がけました。僕自身も役者になる夢をかなえようと、福岡から上京してきたので、亮太のことが他人事に思えなかった。帰るのも勇気がいることだと思いました。地元の友達にはうまくいかなかったことが伝わるし、先行き不透明なまま過ごすことになったら…という不安がリアルに感じられました」(佐藤)。

 せりふは多くなくなったというが、地元出身ならではのナチュラルな方言で、朴訥で気の優しい、等身大で頑張る若者の姿を体現した佐藤。「福岡弁で芝居ができてよかったです。心の中の言葉がスッと出てくる感じがしました」と話している。

 主人公の亮太が動物園で仕事を通して多くの学びと気づきを得ていったように、佐藤もいろいろ知ったり、心動かされたりすることがあったという。

 「漫画家を目指していたので、撮影前に漫画ってどうやって描いていくのか教わって、実際に描く練習もしました。もともと漫画は好きでよく読むんですが、最近は“ここはすごく手間がかかっているな”とか、“作者が伝えたいことがこのカットに込められているんじゃないかな”と考えてしまうようになって、新しい漫画の楽しみ方ができるようになりました」。

 自身の家族に対する気持ちにも変化が。「上京して5年目なんですが、実家に帰るたび、時間の経過を感じていたんです。両親の顔を見て、なんか老けたんじゃない?と感じることがあるし、弟が2人いるんですが、上京するとき小学生だったのが高校生になって、声変わりしてて(笑)。誰にでも等しく、時間が流れていて、命には限りがあるからこそ、家族を大事にしたいな、と思いました」。

 映画『イタズラなKiss THE MOVIE』3部作(16~17年)で初主演を務め、「HIGH&LOW」シリーズでは山王連合会・テッツ役で全シリーズに出演、その他多数の映画、ドラマに出演してきたが、「自分の身の丈に合っていないんじゃないかと思った仕事も正直ありました。そういう苦い経験もこの作品に携われたことで救われたというか、一歩踏み出せた気がします。作品のテーマである“いのち”について考えることができたのも大きかった。何年か経って振り返った時に、転機になった作品として思い出すような気がするくらい、思い入れのある作品になりました」。



世界が注目する“革新的な動物園” 知るきっかけに

 劇中で主人公が働く「延命動物園」として登場するのは、福岡県大牟田市内にある「大牟田市動物園」。実はこの動物園では、飼育している動物の健康寿命を延ばすためのケアや、絶滅が心配されている動物たちを計画的に繁殖させ、維持する「種の保存」活動において、革新的な独自の努力を続けてきた。

 野生の動物についての理解を深め、飼育動物にとって適切な行動と心的活動を発現させる刺激を与える「環境エンリッチメント」に力を入れているほか、健康管理や治療・投薬などの際、動物にできるだけ負担をかけずに行うための「ハズバンダリートレーニング」で有名。これまでライオン、トラ、マンドリル、サバンナモンキーなどの無麻酔採血に国内で初めて成功するなど、“動物福祉に特化した動物園”として、世界から注目を浴びている。

 本作では、ハズバンダリートレーニングの様子なども取り入れ、CGなしで出演者たちが動物とコミュニケーションをとって撮影したというのも画期的。

 「ライオンの無麻酔採血に成功するシーンがあるのですが、採血のために腕を人間に触らせてじっとしているってことがどれほどすごいことか。本当に大変なことなんです。大牟田市動物園の飼育員さんたちが試行錯誤して、細心の注意を払って、根気よくトレーニングをしてきた証なんです。動物たちに対する敬意、愛情の深さに感銘を受けて、心があたたかくなりました。僕もこの映画に関わるまでハズバンダリートレーニングのことは詳しくは知らなかったんです。この映画をきっかけに少しでも多くの人に知ってもらえたらいいな、と思います」。

 最後に、動物園は好きですか?

 「動物園の意義や役割を知って、ますます好きになりました。通常の営業をしている中で撮影をしていたので、平日は遠足の小学生とか、休日は親子連れが多いんですが、意外だったのは、一人で来ている大人の方をけっこう見かけたこと。ただただ純粋に生きている目の前の動物たちを見つめていたい、その気持ちがわかるような気がします。まぁ、撮影している僕らも、動物たちと並んで、ちょっとした観光名所になっていましたけどね(笑)」。