房総通リズム春の観光特集2024

高宕山(330m)

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 この10月に緑濃い房総丘陵の中心に位置する高宕山(330m)へ石射太郎(いしいたろう)を経由して歩いた。

 登山道は高宕山自然遊歩道となっており、整備された歩き易い道である。スタートは植畑上郷バス停で下りて舗装道路を高宕第一トンネルまで歩き、ここから急登の山道に入る。 杉林を抜けて20分位で稜線に出ればそこが岩峰・石射太郎(いしいたろう)の鞍部である。

 ここにはニホンザルの餌付け小屋が残っていた。鞍部からは目指す高宕山山頂や八良塚のどっしりした全容が見渡せる。
石射太郎からは明るい落葉樹の尾根道を行く。今年の夏の暑さと秋の長雨でキノコがたくさん発生していた。

 高宕山直下の源頼朝ゆかりの高宕観音まで50分ほど。ここで昼食。遠くに鋸山の鋭角的な山容も見える。それにしても房総丘陵の中心は豊かな広葉樹が稜線から谷底まで覆っており、小さな尾根が波打っているのが確かめられる。春の山桜や秋の紅葉の頃はきっと最高だろう。稜線上には高山にあるモミやツガの大木も残っている。

 高宕山のモミやツガは、氷河時代の生き残り的存在で、大変貴重なものなのです。通常は、標高が700m以上でないとモミは自生しませんが、たかだか300mの山にモミがあるということは、垂直分布の「寸詰まり現象」なのです。地球温暖化で、今後の生育が心配なモミです。

 それにしても今回楽しみにしていた天然記念物のニホンザルには出会えなかった。高宕山の岩峰の山頂から房総丘陵の展望を楽しんだ後の下りは整備された関東ふれあいの道を進み、八良塚分岐で八良塚までピストンした。八良塚分岐から奥畑バス停(国道410号)までは約60分の下りである。(記:渡邉 信一)