秋茄子は嫁の敵

 茄子(なす)と胡瓜(きゅうり)は対(つい)に認識されているようで、新香を小鉢に一緒盛りすることも多い。

 私は少年期、いなか(市原)の盆迎えで、茄子の牛と、胡瓜の馬作りを担当していた。材料の茄子と胡瓜は、畑へ出掛けて行って物色するが、首を上げた馬用の胡瓜や、角の形がよさそうな牛用の茄子が見つかると、思わずニヤリとする。

 河童は胡瓜が好物で、それで寿司屋の「河童巻」ができたそうだが、茄子には関心が無かったようで「茄子巻」はない。

 私は「河童巻」も食べるが、どちらかといえば茄子の方に食指(しょくし)が動く。茄子のぬた料理が大好物で、みそ炒(いた)めやみそ汁も好きだ。

 ぬたや炒めものは皮付きのままでもいいが、みそ汁用は部分的に皮剥(む)きをして輪切りにする。真夏の太陽が当たった表皮はかたいからそうするわけで、秋に入ればそうした配慮も軽減される…はずだったのだが、今秋(平成24年)は日々30度を上回る猛暑続きだったせいか、秋茄子の皮が柔らかくなるひまがなかった。

 いなかの身内から送ってくれた秋茄子も、スーパーで買ってきた秋茄子も、それぞれに皮がかたく、異常気象にきたえられたものだろうか。

 私の茄子びいきは、亡母の思い出につながる。今年33回忌を済ませた母親は、茄子料理が得意で、そのうまさは、母親よりもむしろ私の自慢だった。

 私は、テレビや雑誌社の仲間を市原のいなかまで連れて行って、母親の手料理を提供した。......


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