「オレ、あけぼの」

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 <わたしの徒然草>シリーズ第3巻『オレ、あけぼの』は、その出版が遅れに遅れた。すべては私の怠慢による。

 当欄のエッセーで触れたり、講演でしゃべったりしたせいか、二、三百人の申し込みを受けているにもかかわらず遅滞し、罪悪感さえ覚える。

 恩師であり、救世主であり、拾う神様である深沢幸雄先生から、思いがけずご親書をいただいた。絵画展にも出展される「書体」ながら、さらにお力が入っているように拝見し、ご好意の「文意」と合わせ、しっかり激励された。

  おからだ不安そうですが…心配しております。
  原稿その他、新聞社におわたししたとのこと故、
  一段と早く出版される様ですね。期待しています。
  ぼくも八十八をすぎてやはりヨロヨロして大変です。
  表紙の色のこと、君らしく心配して下さっているけど心配無用。
  本はあくまで「中味」なり。
  心配無用。待ってます。
  『オレ、あけぼの』の次は何だろう。
  しかしエライよその情熱は。
  期待大なり。
                    深沢幸雄

 音楽好きな深沢先生は、同様に音楽好きな私のために、銅板画『ミスター・ト音記号』を表紙に提供下さり、表題も前号「オレ、たそがれ」に対し「オレ、あけぼの」と命題下された。

 ただ『ミスター・ト音記号』はセレナーデのイメージなので、背景に月が出ていて、タイトル「オレ、あけぼの」につながるのかと心配し、スタッフとあれこれ首をひねったが、深沢先生の「本は中味なり」のお言葉で悟り、表紙の「セレナーデ」が、本文のハートである「あけぼの」へのスラー(音符を結ぶ記号)になると確信する。......