三つ子になった雲

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 千葉市稲毛区の「小仲台公民館」で、月1回(第4日曜日)の万葉教室を開いていて、年の功で私が講師役を務めている。

 正統派と言えない講師だから、学習内容も正統とは言えないが、生徒さん方は和気あいあいのムードを楽しんでいて、そのなごやかさのポイントは舩後久江さんの微笑にあった。

 微笑というのは、一面で寂しさを伴うこともあるが、舩後さんの微笑には安らぎがあり、私はこの安らぎの要因を家庭環境に置いて考えていたが、それには誤解があったようだ。

 舩後靖彦著『しあわせの王様』(小学館)を手にして、その手元が震える思いがした。

-はじめて耳にするその名ALS(筋委縮性側索硬化症) 医師の宣告余命三年 絶望のどん底に落ちた舩後は やがて同病の友を支える「ピアサポート」で立ち直る 人を支えることは自身をも勇気づけること! 全身麻痺の中 わずかに動くまぶたでパソコンを打ち 詩を作り ミュージシャン仲間とコンサートを開き また著作等の創作活動を続ける「しあわせの王様」…(表紙1・2の帯文より)

 本文には、絶望から希望に向かう舩後氏の心情歌が特集され、表題「母」の一首があった。

 介護苦を知っているのに知らないと我看る母に菩薩をみた日

 ふと気づいた。そうだ、母・久江さんの「安らぎの微笑」は「菩薩の微笑」だったのだ。...