「油を売る」のも肝心!?

 私は「向こう三軒両隣」に恵まれている。同じ町会に住んで親しくなったわけだが、話してみると、そのずっと以前からの「縁」を探り当てたりもする。

 お会いするたび、おてんとさんの笑顔を見せてくれる奥井夫人は、かつて中央区の「パリー美容女学校」で、私が講師みたいなことをしていたころ、生徒さんの一人だったとか。

 その奥井夫人から、乳製品のセールスさんを紹介してもらった。奥井さん宅では、もう長いこと配達してもらっているそうだ。

 私の食事のメーンは乳製品である。パンをかじることも、パック飯を温めてつまむこともあるが、主として牛乳を飲み、ヤクルトを飲み、ヨーグルトをすすって食後の服薬となる。

 ただ買い物の苦手な性格で、自分から買い出しに行くことはない。たいていの場合、数少ない酒井塾の生徒らが、教室の帰りに持たせてくれるが、あくまでも惰性的好意で、忘れることも多々ある。

 そんなわけで、セールスさんを紹介してもらえることは、わが食事タイムのささやかな充実となる。

 さっそく、奥井さんの紹介によるセールスさんの訪問を受けた。以前「ヤクルトおばさん」と呼ばれたイメージは全くなく、一見、かわいらしい「ヤクルトお嬢さん」だった。それでも話を聞くうち、小さいお子さんが二人いるという。

 きれいな声で、商品の栄養価やら、これから出る新製品の宣伝やら、また家庭の話、竜巻の話、スカイツリーの話、タレントのうわさ話など、明朗快活な話が次々と展開していく。.....


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