大盛会『絹の手ざわり』

 三越劇場4月公演『絹の手ざわり』は、大盛会、大成功だった。日程11~17日の1週間を通し、原作者の郷土である千葉県からも、連日、複数台のバスを仕立ててファンが詰め掛けていた。

 聞けば県下各市の市長さん方の列席もあり、県知事さんの名の付いた祝い花などこの目でも拝見した。

 私は14日(土)のバスに乗り、遊覧船に遊び、午後4時半の夜の部に間に合わせて三越デパート到着。6階の劇場に向かうエスカレーターに乗ると、目に入る壁に、吉成庸子作「絹の手ざわり」のポスターが提示されていた。

 宝石箱みたいな三越劇場の席に就くと、緞帳が上がり、一場の開演となる。

 老舗呉服店『丸源』の店先に、若女将の多津子(かとうかずこ)と、大女将の凛(岡田茉莉子)、それに女優の松井須磨子(衣通真由美)と弟子二人・花岡蘭子(今井あずさ)、川村里江(遠藤真理子)、遅れて歌人の与謝野晶子(大和なでしこ)も登場し、鷹揚な顧客の顔で物を言う。須磨子も晶子も、イメージ的に実像との少々の差異はあっても、ドラマの雰囲気的には好演だった。

 商売の話が一段落するころ、若旦那の守(篠塚勝)が入ってきて、須磨子の弟子二人を誘うと、すぐにまた店を飛び出していく。この蕩児(とうじ)とチャラチャラ娘との関係が、後々のテーマの伏線となる。

 嫁いで3年、病院の診断により、多津子に子どもが望めないと分かると、大女将の凛は、守が外の女を妊娠させたことを知り、生まれるその子を引き取り、店の跡取りにすると断言し、多津子には、腹に座布団を巻かせ、外の女の分娩に合わせるカムフラージュを命じた。眉一つ動かさず。......


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