花御堂に招かれて

 4月8日は、決まって木更市上烏田の道越山法眼寺に出掛ける。

 黄檗宗法眼寺は曹洞宗・臨済宗と並ぶ日本三禅宗の一つとされるが、法眼寺にそうした権門のいかめしさはなく家庭的だ。

 この日は潅仏会(花まつり)でにぎわう。「お参りに、野や庭の花を一本ご持参下さい。皆様の花で花御堂(はなみどう)をつくりましょう」

 といった法眼寺便りにより、参集者は花一本のライセンスを手に道越山を目指す。喜々とした表情。

 「石の上に腰かけ、名も知らない草の生徒になって十年が過ぎました」。ご住持=加藤典子師の追懐から、今年の花まつりは10周年となり、法眼寺の内も外も超満員となった。

 4月8日はお釈迦様の誕生日。花御堂の中に誕生仏を安置し、水をそそぎかけて供養する。供養後は、本堂を人で満杯にしてお経をあげる。経文のコピーをいただき、ご住持について唱和する。

 唱和後はご住持のソロとなり、お顔と似合いの女学生ボイスで、会場にはさわやかな空気が流れる。

 読経に続き自叙的法話となる。ご住持の加藤典子師の40代は希望に燃えていた。男の40代はそろそろくたびれ始めるが、女の40代は盛りの季節で、あれもできる、これもできる。はたまた大きな夢を見ることだって可能だ。

 典子さんは種々の分野に足を踏み入れ、知識を吸引した。高徳の僧も訪ね、教えを請(こ)うた。高徳の僧は、典子さんが持参したノートとペンを一瞥し、「帰んなさい」…、と言った。

 仏の教えというものは、紙に書いて覚えて、丸暗記すればいいという浅いものではない、という条理だった。......


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