吉成作品、三越劇場へ

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 これまで「ヤッター」と言ったことのない私が、今回は思わず「ヤッター」と叫んでしまった。

 吉成庸子さんの『絹の手ざわり』(千葉日報社刊)が、三越劇場(日本橋三越本店本館6F)の4月公演で舞台化され、7日間にわたり上演される。

 この話は、以前から吉成さんの懸案だったが、その実現の日を心待ちしていただけに、私の胸も高鳴りを覚えた。

 チラシをもらうと、まず豪華版の出演者に驚く。岡田茉莉子、かとうかず子、江原真二郎、篠塚勝をはじめ、名実を備えた14名の出演者が居並ぶ。そして脚本は布勢博一氏、脚色・演出は山田孝行氏と、こちらも当代一流だ。

 綿密なチラシには、あらすじが紹介されていたが、一部を抜粋してみる。

 -大正3年、日本橋にある『丸源』は人気女優の松井須磨子や女流歌人の与謝野晶子が贔屓(ひいき)にしている老舗呉服店であった。嫁いで3年になる若女将の多津子(かとうかず子)は昨年病院で子どもが望めない身体であることを宣告されてから、大女将である凛(岡田茉莉子)からの風当たりが強く肩身のせまい思いをしていた。ある日2代目当主六衛門(江原真二郎)の部屋に呼ばれた多津子は、凛より夫の守(篠塚勝)によその女との間に子どもができたことを告げられる。

 そこから名作『絹の手ざわり』の人間模様が、作者個有のかわいらしさとユーモアと、それでいて人間味の奥行きに届く筆致で織り成されていく。......