大野良亮氏の篆刻

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 とまどいながらも地下鉄を乗り継いで、銀座「鳩居堂」の第5回「中村蘭台一門篆刻展」に向かう。

 篆刻家・大野良亮氏のうれしいお招きで、会場に着いてみると、既に満員だった。さすがに全国規摸のプロによる展覧会である。

 親交をいただく大野良亮氏に迎えられる。大野氏の作品『華胥之夢』は実行委員の部に展示されていて、つまり偉いのである。

 まず『華胥之夢』(かしょのゆめ)について解説をお願いする。

 「黄帝が昼寝する夢の中で、平和な理想境『華胥氏の国』に遊び、覚めてから、政治の要点が自然にあると悟った故事(列子黄帝伝)による」

 転じて、よい気持ちで昼寝することを「華胥の国に遊ぶ」とも言い、また「華胥」を「昼寝」と同義語に用いる場合もあるという。

 大野良亮氏は、勇気があり、行動力があり、反面ナイーブなやさしさと包容力も備え、それらの個性が篆刻作品にも表徴される。

 私は篆刻に識見などないが、その作品群が、他のアート作品より懐慕的に感じられて、その魅力に誘引されるのかもしれない。

 千葉市稲毛区緑町の大野家では、ご夫婦そろってアーチストである。奥様の大野京子さんは詩人・作家であり、詩集『木洩れ陽』小説集『風のかたみ』エッセー集『夕暮れに』等々著作多数で、さらに陶芸家としても活躍中である。ご自分の窯を持ち、すべてマイペースで作品を焼いているそうで、篆刻家のご主人いわく、芸術に夫婦相和すことなし。・・・