2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

生かされて生きる

  恒例の「新年会コンサート」(一月二十七日・京成ホテル)を終えた翌日、ぼんやりと目覚め、ぼんやりと窓外を眺めていると、スズメが五、六羽、小さいままに枯れ果てた庭をつついていた。

 昨日の今日、安堵感(あんどかん)と寂寞感(せきばくかん)が交錯していて、まだ神経のどこか落着していない。

 コンサートのお客は、三分の一くらいが新顔だった。私の病院事情が取りざたされ、今年の「新年会コンサート」は取りやめだろうという噂(うわさ)が流れた。

 噂というより、手術が予定どおり行われていたら、コンサートは中止だった。

 だが気管にできたポリープの手術は、三度にわたって流れた。医師は言った。

  「できた場所が悪い。気管支のポリープだけに、なだめてもすかしても言う事を聞かんし……」

 これはシャレ(場所が悪いだけ本当)だが、手術ができない理由は「血流」にあった。

 私はポリープのほかに、肺臓、大腸、心臓の治療も受けていて、メーンとなる「心房細動」ではワーファリンを服用しているが、この薬は「血流」をアップさせるため、手術によって、血が止まらなくなる危険性があるのだそうだ。

 止血できなければ死につながる。ポリープは良性と見られ、ある期間は保留できるという。ただしポリープはふえることもあるそうで、じっさい私のポリープも双子になった。

 気管のポリープが双子になったため、声の通り道はいよいよ狭まり、声音は「カスレ声」から「スレスレ声」に落ち、常識的には発声できるものではない。

 それから三週間、ほとんど声を出さず、腹式呼吸に留意した。

 憶病な私は、複合病に脅えながらも、生来のひょうきん者で、自分の不幸を茶化してみたり、みせたりする癖がある。

 コンサート当日、私は新しい芸名を披露した。じつは前以て書道家の先生に書いてもらい、当日ステージまでご持参願った。東金市を代表する書道家・堀口紅楓先生の大書で、芸名「ポリープ酒井」が紹介されると、以心伝心の会場が沸いた。

 親しいおつきあいに甘えてばかりいるが、紅楓先生には心から感謝している。

 帝京平成大学教授であり、習志野市の副市長である島田行信氏の巧妙なオープニングスピーチで開演すると、拍手、拍手で会場が盛り上がった。...


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