2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

ガラス絵メルヘン

 深沢幸雄先生から、親しいお手紙付きで、ガラス絵の豪華本を贈っていただいた。

  ――お久しぶりです お元気でいらっしゃいましょうか

僕も老いを重ねてきて大きな銅版画等たいへんになりました それで学生の頃から興味をもちながら 失敗を重ねてきたガラス絵に 数年前から熱中する様になり いつのまにやらかなりの数も作り それに興味を持った方が画集を作って下さって 幸せなことに思っています

銅版画は厳しい世界ですが ガラス絵は置き忘れて来た様なメルヘンの世界がふわりと乗る様な思いです  深沢幸雄 

  クラシカルなアルバム様装丁に見える表紙は、中央に、赤・白・黒・黄を主調とするガラス絵『黒い手袋』が置かれ、しっとりと輝いていた。

 点描と言っていいのだろうか、複雑にしてシンプルな女性のかわいい顔を見ていると、こちらの文面も点描書きのムードになる。

 巻頭では制作プロセスが映像化され、一面で童心にかえる先生のお顔が懐かしかった=写真。

 つづいて「ガラス絵・讃」では、先生の語調がそのまま聞こえてくるような文章感覚だった。

 ――銅版画の画集や図録は、十余冊は出していると思うが、この年になって『ガラス絵』の画集を出して頂けるとは思わなかった。

 もっとも人生、予想しないことが突然起こって、生涯の歩み方を変えてしまうということも無いではない。

 戦後六年、先生が油絵で立とうとしたとき、かつて空襲で受けた右膝の傷が再発、さらに「右膝関節炎」に進行した。

 それらのアクシデントから、先生の指針は油絵から銅版画に移行したものの……。

 ――だが悪戦苦闘、難儀を極めて、わからない時には、しばしば涙を流したものである。

 技法書も無い時代のご苦心の涙、だがその涙には、やがて大成される先生のお姿が映っていたことと思う。

 銅版画の恩人・神様と尊称される深沢幸雄先生は、置き忘れてきたような「絵画の宝石」も放り出さなかった。

 そして、深沢幸雄『ガラス絵』の集大成が成った。

 羽石整史氏(詩人・美術評論家)の解説もまた見事だった。...


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