買い溜めを思う日

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 「買い溜めをしないように」と、テレビから繰り返し呼び掛けがある。

 買い溜めは「利己主義」とも「主我主義」とも呼ばれ、自分さえよければ他人のことなど考えないように言われるが、やや言われ過ぎの観もある。庇(かば)うわけではないが。

 昔々の石油ショックで、私の実家(市原)ではチリ紙の買い溜めをした。なんでも石油からつくられるチリ紙だそうで、石油ショックによりチリ紙が不足する、という流言のせいらしく、買い溜めは村全体の動向だった。

 やがて流言が下火になり、チリ紙がどこの店でも、いくらでも、自由に買えるころになると、納戸(なんど)に積み上げられたチリ紙の山にはほこりが積もっていた。

 この現象は、利己というより小市民的不安心から出たエゴで、己(おのれ)の得にならず損になっている。

 東日本大震災で、コンビニなどの買い溜め客がふえたようだが、こんどの買い溜め客と、チリ紙の買い溜め客とでは、心情的なニュアンスに開きがありそう。

 流通機構がままならず、まず救済すべき避難生活者にさえ行き届かない折、品不足のコンビニの棚から買い溜めする行為は、これは「利己」と呼んでもいいだろう。

 私は朝・昼・晩と病院の指定薬を飲むが、そのための食後をつくるためよくせんべいを食べる。せんべい好きということもあるが、まあ、簡便だからということもある。

 ところが東日本大震災の初期には、このせんべいがコンビニの棚から消えた。入荷しないのか、というとそうではなく、保存可能食品として、買い溜めのターゲットにされたらしい。

 買い溜めもそうだが、風評がもたらす二次感染は半端じゃない。かつて汚染の風評が立つ貝割れ大根を、菅直人さんが完食して見せ、男を上げたようだが、こんど森田健作千葉県知事も、放射能汚染野菜の風評を否定した。ただし疑惑のほうれんそうは食べて見せなかったが。・・・