村の鍛冶屋

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 小学生のころ覚えた歌は懐かしい。「村の鍛冶屋」の歌は現在テレビで聞くと、私が覚えた歌詞と少し違ってきている。

 今は「しばしもやまずに…」と始まるが、昔は「しばしも休まず…」だった。「飛び散る火の花、走る湯玉」は「飛び散る火花よ、走る湯玉」と覚えている。子供のころは「湯玉」や「ふいご」の意味も分からずに、働き者のおじいさんを想像しながら曲の面白さに乗って大声で歌ったものだ。

 鍛冶屋を写真集やテレビでしか見たことがない。実際には知らないのが残念だ。

 鋸南町の宿「かぢや旅館」に泊まると決まってからは、しきりに「村の鍛冶屋」の歌が思い出された。

 鋸山のふもと「かぢや旅館」は、一八五四年創業(安政の時代)の老舗旅館だ。旅館を営む前は、鍛冶屋(かじや)をしていたそうだ。鋸山で石切りをしていた人たちが鍛冶屋の商売相手だった。名前の由来はそこからきたのだろう。

 十月の半ば紅葉には少し早かったが気の合う四人、友人の運転する車でドライブを楽しんだのだった。

 宿の玄関に入ると、大きな水槽にタカアシガニが泳いでいる。季節によってはイセエビが泳いでいる。貝殻や木の株も置いてあり、柱や壁には有名人の色紙がたくさん貼ってある。氷川きよしの写真や色紙、そしてわが槇の会会員、書道家の森森斎さんの色紙もあった。...