親の「羽含む」愛(2)

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 先週の続編だが、設問のリフレーンから。

 〔問題〕(母の乳に)唐辛子を塗られたわけは?

 正解は、甘えん坊の子どもを乳から離すため。昔ならだれでも知っていることだが、いまの若者は…ン?

 〔本文〕私は、上に姉・兄・次姉を持つ末っ子だったが、家を守るべき家付き娘の母親には、糸目の切れた凧(たこ)みたいな末っ子にかまっている暇はなかった。

 それでもたまに、「サイレンの音を聞くたびに、おまえに何かあったのではないかと案じられる」

 抑揚のない淡々とした口調だったが、涙が出るほど実母の愛を感じた。

 〔問題〕抑揚のない口調とは?正解は、声に起伏のない話し方。

 〔本文〕私は一度だけ、母の日だったか、花束を贈ったことがある。母親は照れて、私は、花は食べられないよ、と言った。おいしい食べ物の方がよかった、というニュアンスでないことはすぐに知れた。親不孝者の思い付きがよほどうれしかったようだ。

 私は味を占(し)めて、やがて次のプレゼントを考えた。

 漫画週刊誌の編集長をやっていたし、テレビ番組の作者もやっていたし、かき集めればある程度の資金はできる。その資金を携え、私は母親と妹(叔母)たち計六人を、草津温泉一泊旅行に招待した。

 この計画は成功だった。夕餉(ゆうげ)の膳を前にして、風呂上がりの浴衣でくつろぐと、叔母たちが私のことを、りっぱな体格になったね、と言った。

 ▼江戸川大学2007年度入試問題より。