7年の観察記録、3部構成で 「磯の鳥・生態小図鑑」(唐沢孝一著)

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 唐沢孝一著『磯の鳥・生態小図鑑南房総の鳥と自然』(2012年、カラサワールド自然基金)が発刊された。

 群馬県出身の唐沢氏にとって海はあこがれであった。しかもタイドプールのある磯の魅力は彼をひきつけてやまなかった。それは多くの生き物が環境に合わせ生きている姿であった。

 都立の高校生物教師を経て大学の講師をし、その後念願の海へ。市川から鴨川市へ足を運び、約7年の観察を写真に収め、まとめたのが本書である。

 「磯の鳥」と題した本は管見では皆無で、極めて貴重な本である。

 まず驚かされるのは表紙のクロサギの写真である。黒っぽい海をバックに魚をくわえている。このサギの羽の色が保護色になっている、と考えられる。

 本は3章となっていて、I章は磯でくらす鳥。ここではフナムシを捕らえたイソヒヨドリ(雄)などが活写され、優れた生態写真が次々に紹介されている。

 II章は磯にやってくる鳥。ヤマショウビンの出現や岩のくぼみにたまった海水を飲むアオバトなど。

 III章は漁港や岩礁の鳥。イワシをくわえたハシボソミズナギドリを襲うトビなど必死に生きる鳥たちを斬新かつ生態の視点でとらえた好著である。ぜひお薦めしたい本である。(川名興)

 頒布価は1000円、連絡先は〒272-0035市川市新田3-20-12唐沢孝一宛。はがきで申し込み。