第62回千葉児童文学賞受賞作品「あたたかな家出」

画・芝 章一
画・芝 章一

 第62回千葉文学賞を受賞した大谷八千代さんの作品「あたたかな家出」の掲載ページです。

 母親との関係性に悩む小学生の娘が祖母の元へ家出し、一日過ごす中で母親の子ども時代を知り、自身との関係性を見つめ直す物語。「五右衛門風呂」や「かまど」など懐かしい昔の物が全体に取り込まれていてあたたかみがあり、主人公の心情がいきいきと魅力的に描かれています。挿絵は芝章一さん。

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◆受賞の言葉

 作品に出てくる「いっさいっさのおばあちゃん」は、私の祖母がモデルです・温厚で、ありがたいが口癖でした。

 老衰で歩けなくなっても、「あたたかな布団で眠れるのがありがたい。ここが天国だ」と言って、私をベッドに誘いました。

 私も、病気でベッドから動けなくなったことがあります。看護師さんが飲ませてくれた一匙の水のおいしさ、家族や友人のあたたかさ、ひとつひとつに幸せを感じていました。

 出来ないことを数えるのではなく、今に感謝して、出来ることをする。

 祖母が自分の中に今でも生きていると感じました。どんな場所にいても、心を澄ませば、世界を感じとれます。

 世界から受け取ったものを再び世界に活かすため、創作を続けていきます。

◇おおたに・やちよ 本名・大谷優子。1977年旧成東町(現山武市)生まれ。県立成東高-法政大卒。会社員。山武市在住。


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