【未明の砦】(14) 太田愛・作 藤岡詩織・画

◆序章 (十四)

 矢上は駆け出したい衝動を堪(こら)え、慎重に門柱に手を置いたまま九十度左に向き直った。

 門扉はとうの昔に失われており、闇の奥に引き違い戸の磨(す)り硝子が仄(ほの)白く ・・・

【残り 840文字、写真 1 枚】



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