「ふるさと納税なくすべき」 南房総市長、国制度を批判

南房総市役所
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 南房総市の石井裕市長は25日、定例会見で国制度のふるさと納税について「こんな税制はなくすべきだ。税源が偏在するような間違った税制をやってしまっている国はおかしい」と批判した。制度によって税収増につながりやすい地方部の首長が、ふるさと納税を公然と批判するのは珍しい。

 石井市長は税の財源について「本来、差があってはいけない」とし、制度を運用するのであれば「子育てや福祉など、自治体の政策を応援するための趣旨にするべき」と主張。返礼品による競争を「通販競争」とも表現し「やめたほうがいい」と明言した。「首長同士で話すと、本音の部分では同じように思っている人も多い」とも述べた。

 同市は当初「物を売って税金を集めることはしない」と返礼品は扱わず「お礼状」のみを提供していた。その後、定着を勘案し「制度がある以上はやらなければ」と方針を転換し、2015年から返礼品を扱い始めた。

 ふるさと納税は08年に運用を開始。返礼品目当ての利用が増えるとともに、特に都市部の税が流出し、地方部に集まる構造が強まるとの指摘がある。

(島津太彦)


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