がんは人生を大きく左右する 若年層も検診への意識づけを 【9月はがん征圧月間】

 日本は、2人に1人は生涯で一度はがんにかかると言われ、年間で3人に1人ががんで亡くなっている〝がん大国〟。しかし、医療の進歩により、がんはもはや不治の病ではなくなり、早期発見・早期治療によって9割以上は治る時代になっている。ちば県民保健予防財団では、9月の「がん征圧月間」を前に、がんの早期発見には検診が必要だという意識づけを呼びかけている。

 今回は、25歳で乳がん手術を経験したタレント・声優の矢方美紀さんにお話を伺い、AYA世代の女性のがんと健康について「体験」を語っていただいた。

タレント・声優の矢方美紀さん 財団マスコットキャラクター「けんしー」と一緒に撮影
◆アイドルから声優への道

 私は17歳で名古屋を拠点とするアイドルグループ「SKE48」に加入し、今も芸能活動を続けています。小さい頃から声優になるのが夢で、グループ在籍中からアニメやラジオのお仕事に触れる機会をいただいていました。24歳でSKEを卒業後は、名古屋の声優の事務所に移籍し、ラジオや声のお仕事をいただいて、とても充実していましたね。

 そんな25歳の時、乳がんが見つかりました。著名人が乳がんで亡くなるニュースを見て、病院には行きたくなかったので、セルフチェックで一度やってみよう、と思い立ったのがきっかけでした。ちょうど、新たなお仕事に向かって進んでいくタイミングで、壁にぶち当たりましたね。

◆全摘出、再建しない選択

 ネットなどで自分なりに調べて、治療によっては外見が変わってしまう、乳房の切除(全摘出)をしたら、再建するとして、ファンの方が知ったらどう思うか、冷やかされるんじゃないか…と悩んだ時期もありました。最初は部分摘出と聞いていたのが、検査の結果、ステージが予想外に進んでしまっていて、主治医の先生からは「今じゃなく10年先を考えて選んだ方がいい」と言われました。その時、おばあちゃんになった時に片方胸がある・ないとか関係ないな~、と本気で思えたんです。別にグラビアアイドルでもないし、声のお仕事に胸は関係ない、というのが決め手で、片方の乳房を全摘出して再発を防ぐこと、そして乳房再建手術もしないと決めました。

◆がんを「自分ごと」に

 手術後、抗がん剤の投与はやっぱりしんどくて、脱毛など外見の変化にも悩みましたが、数年を経て、こうして髪もちゃんと伸びてきました。お薬を飲むホルモン療法の副作用でホットフラッシュなど更年期症状が出るので、病気を知らない方の何気ない言葉に傷つくこともありますが、自分なりにいろいろ工夫して、日々、再発予防と仕事の両立を続けています。

 また、妊よう性(将来妊娠する能力)に関しても治療の影響があって、若い女性だと結婚や出産といった将来のライフステージも変わってしまうので、早めに卵子凍結される方もいますよね。もっと身近に、経験者の生の声に触れるチャンスがあって、誰もが自分ごととして「もしがんだったら…」と思えるよう、発信され続けてほしいですね。私も乳がんについて自分で検索して、セルフチェックにたどりつきました。いつも手に持っているスマホで知るチャンスが身近になる。毎日じゃなくても、自分なりにちょっと調べたり、自分の命を早く救えるきっかけを作ってほしいと思います。

◆資料編

乳がんの年齢別新規患者数 〈出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(2019年)〉

乳がんの罹患者数は30代後半から増え始め、40〜50代は注意が必要です。最近は60代も増えてきています。

乳がんの早期発見のためには、マンモグラフィによる検査を定期的に受けることが大切です。(40歳未満の方や妊娠中の方には、超音波検査を行うこともあります)早期発見、早期診断、早期治療をすれば、9割以上が治癒します。

◆ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)のすすめ

①自分の乳房の状態を知る
②乳房の変化に気をつける
③変化に気づいたらすぐ医師へ相談する
④40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける
※千葉県内でのがん検診については、市町村がん検診担当課にお問い合わせください。

子宮頸がんの年齢別新規患者数〈出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(2019年)〉

子宮頸がんは20代後半から増え始め、罹患した場合、がんの治療のため、子宮を失い妊娠できなくなってしまう人は、毎年約1000人います。

◆HPVワクチン接種で子宮頸がんを予防しましょう

①定期接種対象者 小学6年生~高校1年生相当
②キャッチアップ対象者 17歳から26歳(2023年度)
●9価ワクチン接種により、子宮頸がんの約90%を予防します。
※詳しくはお住いの市町村にご相談ください。公費(無料)で受けられます。

AYA世代のがん 男女比 〈出典:公益財団法人日本対がん協会〉

国立がん研究センターなどは2019年秋、「15歳〜39歳のAYA世代のがんは、女性が76%を占める」という、驚くような数字を発表しました。この世代のがん患者の4人に3人は女性です。

※AYA世代…思春期から若年青年のこと

女性ホルモンの影響を大きく受ける女性のライフステージごとのがん発症の傾向イメージ〈出典:公益財団法人日本対がん協会〉

(提供:公益財団法人 ちば県民保険予防財団)

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