酪農の価値を見つめ直す 株式会社秋葉牧場ホールディングス(成田ゆめ牧場) 代表取締役社長 秋葉秀威氏 【千葉のトップが語る2022】

インタビューに答える秋葉社長
インタビューに答える秋葉社長
成田ゆめ牧場の入場口
成田ゆめ牧場の入場口
飼育しているヤギ
飼育しているヤギ

酪農の価値を見つめ直す

 弊社の前身は1887(明治20)年に東京・砂町で創業した搾乳専業牧場「秋葉牧場」です。明治維新の余韻と西洋技術文化が混然とする世に最先端の畜産・酪農技術を取り入れて誕生しました。創業100年にあたる1987年に酪農事業と併行して成田市に観光牧場「成田ゆめ牧場」を開設し、現在に至るまで、ウシやヤギ、ヒツジなどの動物や自然との触れあいを楽しめる施設として幅広い年齢のお客さまに親しまれています。「全国穴掘り大会」といったユニークなイベントも開催しています。

◆直販で6次産業構築のヒントに

 牧場内では、酪農から生み出される新鮮な素材を生かした自社製の乳製品などを提供しています。通信販売や県内外の直営店でも取り扱い、製品に込められた「ストーリー」と「ヒストリー」をお客さまにお伝えできます。直接販売することによって、新たな製品やサービスのヒントが得られることも6次産業を構築したメリットです。

◆「人財」の成長が会社成長のカギ

 より良いサービスを提供し続けるためにも社員の知恵と行動を支える環境の構築が重要です。社員一人一人が個性を磨き、アイデアを実現して喜びを感じることが成長につながります。「人材」ではなく「人財」。自身の成長が会社の成長に繋がる、逆もまた然りと感じてもらいたいと考えています。

◆旧来の酪農ビジネスからの脱却

 今年創業135周年を迎えます。積み重ねてきた酪農の歴史は、それ自体が代え難い財産であり強みです。千葉県は日本酪農発祥の地でありながら、後継者不足による相次ぐ廃業で酪農家数は500戸未満まで減少しています。昔は身近であった酪農やウシが、現状では遠い存在になっています。旧来のビジネスモデルが通用しなくなりつつある今こそ、弊社は「酪農」という原点を見つめ直します。

◆新牛舎完成で安定製造可能、アジアへ

 昨年中に酪農・製造部門を分社化し、同年末には最新機能を備えた大型新牛舎を稼働させました。ウシの感染症対策、ストレスを軽減すべく工夫された建築・設備構造はもちろん、飼養方法なども大きく変え、22年9月までに搾乳頭数を現在の約60頭から220頭への増加を予定しています。最終的には現在の5倍に相当する300頭を目指します。

 乳製品の安定製造が可能となれば、将来的に東南アジアへの乳製品輸出も視野に入れております。135年の歴史を未来につなぐ夢「安心安全で温かみのある乳製品を世界へ」です。

◆“リアル”を感じて大きな変革を生む

 もちろん酪農・製造部門だけでなく、観光牧場「成田ゆめ牧場」も22年は大きく変わろうとしていますので楽しみにしていてください。牛乳は牛が出すという「常識知」と、実際に牛のお乳に触れて温かさを感じる「体験」の間には大きな懸隔があるでしょう。万事バーチャルな時代です。1887年から続く「牧場であること」が、かけがえのない価値を持つと信じて本年もまい進してまいります。

◇住所 成田ゆめ牧場 成田市名木730―3
◇住所 本社 八千代市緑が丘2―2―10
◇事業概要 酪農、製造加工、観光、小売、不動産など


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