2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

【千葉魂】和田、積極果敢に初盗塁 甲斐キャノン撃破、同点の生還

開幕戦の9回、同点の生還をした代走和田(63)を迎える井口監督(右から2人目)=19日、ペイペイドーム(共同)
開幕戦の9回、同点の生還をした代走和田(63)を迎える井口監督(右から2人目)=19日、ペイペイドーム(共同)

 2020年シーズン、マリーンズで最初にホームを踏んだのは1カ月前まで育成選手だった和田康士朗外野手だった。19日のホークスとの開幕戦(ペイペイドーム)。0-1と1点ビハインドの九回無死一塁で代走として1軍プロ初出場を果たすと2死から二盗を敢行した。

 「めちゃくちゃ緊張しましたよ。やばかったです。なかなかスタートを切る事ができなかったですけど、ベンチからサインも出て、思い切り行くことができました」

 和田は緊迫のプロ初盗塁を振り返る。自分がホームを踏めば土壇場で同点。一方でけん制死や盗塁死となると試合終了となる状況。プロ入り初の1軍試合出場の場面は、天国と地獄が交差する緊迫のシチュエーションとなった。相手バッテリーとの10分47秒の攻防でけん制は7回。マウンドの森唯斗投手は2回、間を取った。絶対警戒の中、リードを短くしながらスタートで勝負をする事を決めた。いつもなら人工芝の部分までリードを広げるが左足をアンツーカー。右足が芝という通常より一歩短く構えた。最後は首脳陣からいつも言われている言葉を信じた。「思いっきり行け」。ベンチからもストップのサインが出ることはなかった。信頼の証であり、失敗を恐れずに走る事を求められていることを感じとった。好スタートを切るとプロ野球界屈指の甲斐拓也捕手から見事にプロ初盗塁を決めた。

 「絶対に成功しないといけない場面で成功できたのは嬉しかった」と和田。その後、中村奨吾内野手の中前打で快足を飛ばし、ホームを踏んだ。井口マリーンズの2020年型野球を見せつけた瞬間だ。

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 井口資仁監督も満足げに振り返る。「あそこで走れるのは凄い。練習試合でもけん制が上手い投手相手でも初球から走りに行っていた。盗塁は割り切りが大事。中途半端では駄目。思い切りが大事。それを和田は分かっている。大戦力だよ」。指揮官は練習試合から和田の足に注目をしていた。見ていたのはその姿勢だった。練習試合13試合で7盗塁。そのほとんどは初球、もしくは2球目で二塁を陥れていた。積極的な姿勢が光った。13日のライオンズとの練習試合ではけん制死。初めてミスをした。普通の若者なら縮こまるところだが、翌14日の同カードでは積極的に走った。

 「あの日、失敗するのは正直、怖かったです。でもここで怖がったら自分が1軍にいる意味、価値がなくなってしまう。出番をもらえたら絶対に走ってやると思っていた」と和田。

 二塁ベース上で汗を拭う姿は鬼気迫るものがあった。一塁ベースコーチを務める伊志嶺翔大コーチからはいつも「準備と思い切り」と言われ続けている。出番が来るまでベンチ裏でスタートを切る練習や念入りにストレッチを行う。そして投手のクイックやけん制の特徴に目を光らせる。捕手の肩の強さも入念に調べ上げ、下調べを徹底する。それらを頭に叩き込んだ上で走る。

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 開幕戦で究極の場面で決めたプロ入り初盗塁にマリーンズ入りをする前に所属をしていたBC富山の関係者たちも喜んだ。「たくさん、連絡をいただきました。頑張れよと」と和田。BCリーグもようやく開幕の時を迎えた。「自分がNPBで頑張ることで少しでも後輩たちの希望になればという想(おも)いはあります。富山がなければ、今の自分はいませんから」。ここまで、はい上がってきた男は自分が走る事が夢を追いかける後輩たちを勇気づけることを知っている。色々な人の想いを乗せて、これからも走る。積極果敢に大胆に。その走りがマリーンズを勝利へと導く。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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