【千葉魂】安田、晴れる日を信じて 2軍降格の悔しさ胸に

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中日戦の9回、見逃し三振に倒れた安田。この試合後に2軍行きを通告された。「次はずっと上にいられるように頑張りたい」=3月10日、ZOZOマリン
中日戦の9回、見逃し三振に倒れた安田。この試合後に2軍行きを通告された。「次はずっと上にいられるように頑張りたい」=3月10日、ZOZOマリン

 悔しかった。だから室内練習場で打撃マシンと向き合った。3月10日のドラゴンズとのオープン戦後、2年目の安田尚憲内野手は2軍落ちを通告された。その瞬間に事実上、昨年オフから目標に掲げていた初の開幕1軍の夢がついえた。

 「悔しかったです。正直、ヘコみました。ただ結果が出ていませんでしたし、自分の打撃もできていなかった。落ちて当然と受け入れるしかありませんでした。結果が出せなかったことが悔しかったです」

 打ちひしがれる若者に寄り添ってくれたのは大村巌打撃コーチだった。試合後、室内練習場に姿を現し、打撃マシンと向き合い、ひたすら打ち込む安田の姿を見つめた。打ち終わると話し込んだ。10分、20分…。長い時間が流れた。諭すように、優しく語り掛けるように、悔しさを抱え込む若者と向き合っていた。室内練習場を後にした時には、外は漆黒の闇に包まれていた。

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 大村打撃コーチは振り返る。「あの日、試合前からデーゲームが終わったら室内で特打をしようという約束をしていた。試合後に2軍落ちを通告されて、果たしてどうするのかなあと思っていた。すると彼は現れた」。2軍落ち通告直後にバットを持って室内に現れた姿勢は評価に値するものだった。納得いくまで打つのを見届けた後に話し掛けた。安田の目は、うっすら濡れていた。涙ぐんだ。

 「どんなスターにでも悔しい出来事は起こる。そんな悔しい事が起きた時、道は二つある。ここからやってやるぞ、見返してやるぞと歯を食いしばって頑張るか、諦めてダメになってしまうか。それで人生は大きく変わる」

 大村打撃コーチの熱い想(おも)いは若者の胸に響いた。打撃マシンと向き合う前の安田の表情は曇っていた。ただ、室内練習場を出るころには切り換えを済ませ、前を向いているようだった。コーチの言葉を胸に2軍から出直しを誓った力強い目をしていた。

 「結果を意識し過ぎていたと思います。あの後、映像を見ていたら、フォームもスイングも小さくなっていた。背中も丸くなっていた。結果が欲しい、打ちたいと思っていた中で気付かないうちにフォームが小さくなっていたのだと思います」

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 安田は2軍で徹底的に打撃映像を見返し、自分を見つめ直した。そして悔しさをぶつけるように打ち込み、結果を出している。「三風五雨(さんぷうごう)」という言葉がある。人生を10としたら、3日は風が吹いて、5日は雨。晴れの日はせいぜい2日ぐらいだという意味だ。人生というのは逆風が吹いていて当たり前。雨が降って当然。晴れる日など10日に2日程度しかないというのだ。そう思っていれば日々につらい、悔しいと嘆く必要はない。それは当たり前なのだから。いいことばかりではないのが人生。その中でいかに我慢し、努力し根気強く日々を過ごしいつか訪れるであろう晴れた日、つまりチャンスで生かせるかなのだ。

 「落ちてしまったものは仕方がない。もう一回、1軍に上がれるようにやるしかないと思っています。ヘコんでなんかいられない。まだまだレギュラー選手との差がある。今はしっかりと実力をつけて次はずっと上にいられるように頑張りたいです」

 安田は2軍で今、必死の日々を過ごしている。いつか訪れる快晴の日を信じて、準備に余念がない。開幕直前に2軍落ちした悔しさを忘れることなく、反省と努力を繰り返しながら成長をしている。晴れの日が訪れるのは、もうすぐそこだ。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)