【千葉魂】2軍で鍛錬、初完封つかむ 二木、新たな第一歩踏み出す

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17日にプロ初完封で3カ月半ぶりの白星を挙げた二木(右)。2軍での日々を「この経験を無駄にせずに生かすことが大事」と話す
17日にプロ初完封で3カ月半ぶりの白星を挙げた二木(右)。2軍での日々を「この経験を無駄にせずに生かすことが大事」と話す

 悔しさをボールにぶつけていた。二木康太投手が17日、杜の都仙台のマウンドで躍動した。4月30日以来となる、3カ月半ぶりの3勝目はプロ初の完封勝利。スピンの利いたストレートに切れ味鋭いフォーク。さらにはストライクゾーンの四隅にしっかりと制御されたスライダー。何よりもボールには魂がこもっていた。イーグルス打線を完璧に抑え込み、シャットアウト勝利。生まれ変わった姿を見せつけた。

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 「ファームにいた時は本当に情けない気持ちでした。ふがいない想いはすごくあった」

 2軍で、もがき苦しんだ日々だった。4月30日のファイターズ戦(ZOZOマリンスタジアム)で2勝目を挙げるも、そのストレートは到底納得できるものではなかった。だましだましの状態で投げる姿に首脳陣は2軍落ちを決定。それから3カ月半。ひたすらフォームを見つめ直す日々を続けた。

 「いろいろな映像を見ました。よく見ると、もう去年も終盤ぐらいからおかしくなっていた。結局、その時点で自分の中では問題があることにうっすら気がついてはいたのですが、そのまま解決せずに放っておいてしまった。あの時に真正面から課題とぶつかっていたらこんなことにはなっていなかったと思う」

 映像を見ては、ブルペンでシャドーピッチングをする。地道な作業の中で答えを探した。さまざまな試合の映像を見ては気付いたことを確かめる。その繰り返し。決めていたことがあった。「答えを見つけるまで、妥協しない」。だから試して少しでも感覚と違えば、切り捨てた。1カ月後、明らかに今までと違う感覚に至った。それは言葉にするのは難しい自分にしか分からないようなもの。それこそが追い求め続けたものだった。

 「股関節の使い方というか体重をためて投げること。左ひざを抜けずに投げると力がボールに入る。左足で力を伝える感覚。そうするとおのずと重心は低くなるし、腕が振れる」

 あとはその感覚をいかに実戦で使えるようにするか。走り込み、投げ込んだ。2軍の朝は早い。デーゲームを終えて、自宅に戻ると一人、夕食を作るのが日課だった。チャーハン、豚の生姜焼き、野菜炒め、オムライス。気分転換にといろいろなものを試した。そしてテレビをつけてナイターを見ながら食事をした。

 「でもそうやって一人、家でナイターを見ながら食事をしている時間が一番つらかったかもしれない」
 思わずため息が漏れた。ハアッと大きなため息をつく。天井を見上げる。グラウンドで感情を表に出すことは決してない若者も夜、テレビで一人で見るナイターはこたえた。それでも打者の研究を怠らなかった。

 そんな二木を2軍首脳陣、スタッフは励ました。「こんな場所にいる選手ではないぞ。ファームから抜け出すのではなくて、エースになるという気持ちで過ごせ」。そう励ましてもらったことで、折れそうになる心を立て直した。

 「自分が思い描いたシーズンにはなっていません。つらい日々でした。ただ、まだ野球人生は続く。この経験を無駄にせずに生かすことが大事だと思っています。何年か後にこの経験があったから良かったといえるように生きていきたいと思っています」

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 春季キャンプ前に公言していた目標は規定投球回数に到達をしての防御率2点台。そうすればおのずと2桁を超える勝ち星もついてくるという狙いだった。あの日と今日。現在点は残念ながら思い描いていた場所ではない。ただ今はうまくいかなかったここまでの日々を前向きに捉えられる自分がいる。大事なのはこれから。失敗と悔しさを糧に成功をつかみ取る。二木は新たな第一歩を踏み出した。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)