【千葉魂】新生マリーンズ、始動 会話重ねる井口新監督

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監督就任会見で現役時代と同じ背番号6のユニホームを手に、笑顔を見せる井口新監督=10月14日

 すでに新しい風が吹いている。新たにマリーンズの指揮を任されることになった井口資仁新監督は活動的に動き回り、改革に向けた第一歩を踏み出している。歴史的な敗北を重ねた今季のマリーンズ。やらなければいけないことは山ほどある。青年監督は精力的に動き回り、チームを生まれ変わらせようとしている。

 「今年の成績だと休める人なんていないんじゃないかな。やらなくてはいけないことはいっぱいある。チームとしても悔しいし、当然、個人的に悔しいこと、反省しないといけないことが山ほどある。それをこの秋からしっかりと見つめ直していきたい。選手には貪欲に取り組んでもらいたい」

 10月21日にロッテ浦和球場で全体練習が再開されると若き指揮官はキッパリと言い切った。今シーズンまで現役を務めていた井口監督だからこそ見えているものがたくさんある。ここ数年はベンチの中にいても自分ならこの状況でどうするかを自問自答しながら過ごしてきた。他の選手たちが何を悩み、どう打開したいのかを観察してきた。1歳年下のベテラン・福浦和也内野手を見ていて感じたことがあった。それは自分とコーチの立場を考え、若手への指導を遠慮しているように見えたことだ。だから、監督就任が決まると兼任打撃コーチ就任を依頼した。兼任コーチの肩書きを持つことで、積極的に指導をしたり、声を掛けたりできるのではと考えた。それはマリーンズにとって間違いなくプラスになることだと想定し、踏み切った。秋季練習初日、積極的に手振り身振りを交えながら選手にアドバイスをする福浦兼任打撃コーチの姿に目を細めた。

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 対話。今の若い選手たちが一番、求めているのはコミュニケーションだと肌で感じている。そして、それができるのが今年まで現役を務めていた自分の利点だと感じている。だから10月14日、千葉市内のホテルでの就任記者会見を終えると、そのまま空路、宮崎へと向かった。宮崎でのフェニックスリーグに参加をしている選手たちを視察するのが目的であると同時に、なかなか1軍首脳と会話をする機会のない若手選手たちと話をするのが目的だった。現地に到着をするとその夜に2軍首脳陣と会食。残念ながら3日連続雨天中止のため試合こそ見ることができなかったが、その分、若手選手に自ら積極的に話し掛けるなど対話を重ねる時間が増えた。打撃の悩み、来季に懸ける想い、現状打破に苦しむ心情。色々な事を聞けた。大きな収穫だった。

 「会話は大事にしていきたい。選手たちから壁を作ることはもしかするとあるかもしれないけど、自分は絶対に作らない。どんどん会話をしていきたい。全選手から話を聞いて、想いを確認したいと思うし、自分のやりたい野球などの野球観を伝えていきたい。それはシーズン中も同じ」

 監督という肩書の前に、選手たちはどうしても一線を作ってしまう。そしてそれが結果的にいつからか大きな壁となり、お互いの想いを遮断してしまうことがある。新監督は就任会見で目指す監督像としてシカゴ・ホワイトソックス時代に出会ったオジー・ギーエン監督の名前を挙げた。選手との距離がないことにおいては衝撃的だった。世間話をすれば、冗談を言い合う人だった。一緒に笑い、共に泣いた。朝、選手ロッカーに到着するとソファーでくつろいでいる姿を当たり前のように見かけた。気取らず、ありのままに接してくれた。それが選手としてうれしく、やりやすかった。だからその姿を追い続けている。選手たちに素直な自分の考えを伝え、動きやすい環境をつくろうとしている。

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 3泊4日の日程で宮崎視察を終えると翌日には福岡にいた。クライマックスシリーズ・ファイナルステージでの3日連続でテレビのゲスト解説を務めたがその眼は最高の舞台で激戦を演じる両チームの戦い方に向けられていた。厳しい目線で両ベンチの動きを細かく観察した。そしてポツリとつぶやいた。

 「本当ならマリーンズがクライマックスシリーズに出ていないといけない。それが当たり前のチームにする。この期間に練習をしていなくてはいけないことの意味を選手はしっかりと感じて今年は取り組んでほしい」 ナイターを終え、翌早朝便で帰京。空港からそのまま午前10時に始まったロッテ浦和球場での全体練習に合流した。「その時間を練習に使ってほしいから」と自ら積極的にボールを拾い、ネット設置を行った。全体練習が終わっても特打は3時間以上、続いた。それを見守る背番号「6」の背中はエネルギーにあふれていた。新しい風はさっそうと吹いている。それは力強く、今まで感じたことがないような風。新生マリーンズが動き出した。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)