【千葉魂】 島、新たな旅立ち 初心忘れず日々一生懸命

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 3月4日、島孝明投手は東海大市原望洋高校の卒業式に出席するため、しばしチームを離れた。久しぶりに会う仲間たち。懐かしの校舎。数カ月前まで生活をしていたこの場所が、遠い昔のことのように思えた。

 「懐かしかったです。なんともいえない安心感があった。これからはいよいよ高校生ではなくなる。一人の社会人としていろいろなことを学びながら、頑張っていきたい」

 チームに戻ると強い口調でキッパリと言い放った。その表情からはあどけなさが取れ、りりしさが感じられた。

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 初のキャンプでは戸惑いの連続だった。次から次へと組み込まれている練習メニュー。流れを把握するのに苦労をした。朝から夜まで野球漬けの日々。そして走る量の多さに驚き、それに対して息を乱すこともなく、やってのける先輩たちの姿にあぜんとさせられた。1、2軍合同で行われているマリーンズの石垣島キャンプ。「せっかくだから、見てこい」。投手コーチから1軍のブルペンをのぞいてくるようにアドバイスを受けた。そこではエースの涌井秀章投手と侍ジャパン入りをした石川歩投手が投げていた。キャッチャーがミットを構えると、そこにスッとボールが入っていった。その精度に圧倒された。

 「やっぱり1軍で毎年、実績を挙げている選手はすごいと思いました。ストレートも変化球もキレがあって、思い通りに操っている印象」

 朝起きて、必死に練習についていって、宿舎に戻り少しばかり反省をするとすぐにベッドに横たわる日々だった。コーチからは体幹の弱さを指摘され、重点的に取り組んだ。「正直言うと毎日が必死だったから、楽しくはなかった。でも、充実はしていました」と振り返る。

 ハイレベルな環境下での初めての経験の連続に悪戦苦闘をした日々。それでも持ち前の強気の性格で歯を食いしばって、ついていった。そして若者は気が付かないうちに成長をし続けている。卒業式のため、チームを一時離れる直前の2軍練習でブルペンに入るよう指示を受けた。新人合同自主トレ、キャンプでの成果を見せるべく50球を投じた。見守った2軍首脳陣は日々、成長をしている姿に目を細めた。

 「この1カ月でだいぶたくましく成長をしている印象。ボールに力があるし、打者目線で見ると怖さも感じる。手首も柔らかくて、球持ちもいい。手首の使い方はバファローズの金子千尋投手みたいだ」

 キャンプ中の全体練習後にキャッチボールを行いながらフォームチェックを行い、変化球の練習などに付き添った小野晋吾2軍投手コーチはそう評し、期待を口にした。まだ、始まったばかり。ここから可能性は無限に広がっている。

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 島が大切にしていることがある。それは自分自身で考え出した投げる際のルーティン。マウンドに向かうとスタンドを見渡すようにしている。そして、心を落ち着かせる。母校・東海大市原望洋高校のセンバツ甲子園出場が決まった時もこのことをアドバイスした。

 「試合前にはぜひスタンドを見渡してください! 気持ちが落ち着くという意味もありますが、これだけ多くの人の前で野球をすることができるという幸せを感じ取ってほしいと思います」

 高校時代とは違い、今は日々の練習でも多くの人が見に来てくれる。その中で野球ができる喜び。まだ、つらいことも、厳しいこともたくさんあるけれども、島は初心を忘れずに日々を一生懸命に生きている。真っさらなグラウンドから満員に膨れ上がったZOZOマリンスタジアムのスタンドを見渡せる日が来ることを若者は夢見ている。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)