【千葉魂】 必死さ示すハフマンの涙 全力助っ人、プライド捨てた

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 熱い思いが、確かに伝わってきた。3月30日、福岡ヤフオクドーム。試合後の監督室に新外国人のチャッド・ハフマン外野手(28)が訪れた。コーチから翌日の2軍落ちを通告された直後。指揮官への挨拶のため、ドアをノックした。迎え入れた伊東監督はその表情を見て、強い思いを感じ取った。

 「アイツ、目に涙を浮かべていたんだよ。泣きながら挨拶に来た。『明日から出直して頑張ります』ってね。本当に悔しそうだった。必死の顔だった」。QVCマリンフィールドでの試合前打撃練習を見守りながら、指揮官はあの時の情景を教えてくれた。

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 昨年、鴨川市の秋季キャンプで入団テストを行った。結果を求められる紅白戦。右翼を守っていたハフマンは大飛球を背走し、ダイビングキャッチを魅せた。ユニホームは泥まみれ。必死だからこそできるプレーだった。

 「気持ちのこもったダイビングキャッチだった。あの瞬間に合格を決めた。必死さを買ったんだ。ウチにはああいう魂が必要だった」

 入団決定後もアピールを続けた。今春の石垣島春季キャンプ。オープン戦。何度か二軍落ちが検討されたこともあった。しかし、そのたびに成績を残し、猛アピールを繰り返した。その結果として、3月28日、「6番・左翼」で開幕戦スタメンの座を射止めた。残念ながら結果は空回りしてしまった。そして3試合が終わった段階で2軍落ちを通告された。最初は悔しさを押し殺していたが、指揮官に挨拶に訪れた際に、想いが溢れ出てしまった。183センチ、98キロの巨漢が人目をはばからず、涙を流した。

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 「拾ってくれた。チャンスをもらえたとの思いがあるのだろう。少ないチャンスをなんとかものにしようと必死に練習をしていたし、結果を出してくれた。だから、オレには分かる。あの悔しさが……」

 そんな伊東監督が注目していたのは、降格直後の2軍戦での成績だった。2軍より送られてきたレポートに目を通した。4月1日の横浜DeNA戦、「5番・右翼」でスタメン出場。5打数3安打2打点1本塁打。その結果に早い段階での再昇格を決めた。

 「大事なのは落ちた後、その選手がどのような態度を取っているか。腐るのか、ファームを舐めて手を抜くのか。必死にアピールをするのか。ハフマンは必死だったらしいよ。試合だけではなくて、練習も全力で取り組んでいた。オレはそういうのを見ていた」

 ハフマンの全力プレーを見ていると、その必死さがヒシヒシと伝わってくる。米マイナーリーグではクリーンアップを打ち、通算102本塁打。名門ヤンキースでメジャーデビューをした男は、過去のプライドという類のものは一切、捨て去っている。助っ人と呼ばれることが多い外国人選手にあって、本当に珍しいタイプだ。

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 練習で全力疾走。一塁へ全力疾走。守備位置まで全力疾走。日本語の勉強に余念がない。何でも必死。手を抜くことがない。伊東監督も「放っておくと一塁を駆け抜けてライトフェンスまで走ってしまいそうだね」と苦笑する。

 「私に日本でプレーをする機会をくれた伊東監督のために闘う。だから、毎日、一瞬でも悔いが残らないようにプレーをしたい。それが全力プレーにつながっているのかもしれない」

 キッパリとハフマンは言い切った。指揮官を男にするため、全力プレーを続ける助っ人。その姿を見ていると必死に生きることの大切さをあらためて感じさせられる。海を渡って、ジャパニーズドリームをつかむため、千葉の地で、ハフマンは一瞬に生きる。必死に生きている。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)