【千葉魂】 努力の上野、がむしゃらに前へ 右肩打撲もパワーアップ誓う

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 通常、試合のない月曜日、1軍選手は練習免除のオフである。1週間で唯一のオフといっていい。翌日や翌々日などに先発する投手だけは体を動かすが、それ以外の選手は姿を現すことはなく、グラウンドは静かなものである。今年、そんな状況に一つの変化が起きた。グラウンドで黙々と走る上野大樹投手(26)の姿を必ずと言っていいほど、見るようになったのである。

 「自分は現状維持じゃダメな選手なんで…。常に少しでも上のレベルを目指さないといけない。そのためには休みの日でも走るなり、ウェートをするなり、体を動かして明日からの試合に備えないといけないと思うんです」

 プロ5年目。昨年まで4年間で42試合に登板をして5勝9敗。マウンド上では闘志あふれるピッチングでファンを魅了するなど期待の高い選手である。今季も中継ぎを中心に20試合に登板して1勝を挙げ、防御率は2・43。チームには欠かせない存在となっている。中継ぎ投手はマウンドで投げる時以外もいつ何時、呼ばれてもいいようにブルペンで肩を作っておかないといけない。影の苦労が多く、疲労の蓄積するポジションである。それでも上野は休もうとしない。

 「毎年、1軍では投げさせてもらえるけど、なかなかコンスタントな結果を出せない。それが悔しいし、将来、悔いが残らないように練習をしようと思ったんです。今年はそうしようと決めました。家族のためにも、応援してくれるファンのためにもそうしないと失礼だなあと強い決意で挑むシーズンなんです」

 そのガムシャラな姿勢からは強い決意を感じる。遠征先のホテルで上野の隣の部屋になった関係者は苦笑する。「ビュッ、ビュッて隣の部屋から音がして夜、眠れないんだよ。なんの音かなと思ったらアイツがシャドーピッチングをしている音だった」。私もシャドーピッチングで思い出した。そういえば昨年秋の鴨川での秋季キャンプ。宿舎に到着した上野はチェックインを終えるとすぐに駐車場に向かった。なにをするのかと思えば、いきなりシャドーピッチングを始めたのである。

 1歳年上で選手会長そしてエースの成瀬善久投手も舌を巻く。「先発投手だけが練習の日にオレが休んだ方がいいぞって言っても『お願いです。僕も練習に連れて行ってください。迷惑をかけませんから』って頭を下げるんですよ。そこまで言われたら仕方がないなあってなりますよね」。遠征先ではホテル出発前にもジョギングをし、試合後も宿舎に戻ってからクールダウンのジョギングをする。まだまだ、上野の陰の努力を紹介しているとキリがないが、そんな彼の今年に賭ける意気込みは私たち関係者にはヒシヒシと伝わってくるのである。

 それだけに10日の試合で右肩に打球が直撃し、登録抹消になってしまったのは残念で仕方がない。ただ、本人はすでにロッテ浦和球場で前向きに練習を再開していた。

 「打撲だったので、とりあえず一安心しています。なってしまった事は仕方がない。さらにパワーアップして一軍に戻れるように、今、出来る事を精一杯していますよ」

 笑顔でそう話すと灼熱のグラウンドに飛び出していった。額からは大粒の汗が湧き出る。さらに汗を出すべくスピードを上げる。ファンから応援の声が飛ぶ。それが背番号15の背中をまた一押しする。努力の男・上野大樹。痛みが完治し一日も早くQVCマリンのマウンドに戻ってきて欲しい。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)