秋庭が口火、一挙7点 第95回全国高校野球選手権大会

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 打てる球を見逃し、低めの変化球に手を出して凡退-。沈黙が続く打線に、木更津総合・五島卓道監督が活を入れる。

 「お前らがやりたいことは、球を見逃すことなのか。思い切り振る練習をやってきたんやろ。やらずして悔いを残すな」

 2点を追う五回、口火を切ったのは8番・秋庭豪太だった。この回1死まで上田西の好左腕・浦野峻汰に無安打投球を許した打線。だが6、7番が連続四球を選び、ベンチの空気は押せ押せに変わる。1死一、二塁で打席に立った秋庭は決めていた。「四球の後。初球から打つ」

 右打者は、序盤から苦しめられたスライダーを狙っていた。指揮官には「誰かがあの変化球を打たないと流れが変わらない」と言われていた。1球目、内角にきたその球を迷わず振り抜くと、打球は中堅左を鋭く抜いた。一走もかえって瞬く間に同点。一塁手として出場した昨夏の大阪桐蔭戦で失点につながる失策を犯し、途中交代を命じられた男が、1年ごしのガッツポーズと笑顔を見せた。

 3年生のチーム初安打で、若い打線が乗らないわけがない。エース千葉の勝ち越し打、猿田、谷田の2点適時打など5安打と積極的な走塁でこの回一挙7得点。それまでの淡泊な攻撃がうそのように、一気に畳み掛けた。「去年エラーをして代えられた選手がチームを乗せる二塁打を打ってくれた。素晴らしいですね」。本人には言わないが、記者に囲まれた五島監督は感慨深げに本心を語った。