ギプス姿で仲間を応援 木更津総合 前田

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ベンチからナインに必死に声を出す木更津総合の前田

 1―9の最終回。木更津総合の前田章宏は気の早い涙が込み上げそうになった。「練習試合では8点差をひっくり返したことがある。今回も…」。信じる気持ちは届かずゲームセット。「もう終わっちゃったんだ」。目の前の敗戦を受け止められない。

 22日の3回戦の船橋芝山戦の六回。一塁後方へのファウルにダイビングキャッチを試みたが、捕球できずフェンスに激突。右手首が手前にぐにゃりと曲がった。右手首の複雑骨折で全治2カ月。出場できなくなった。

 今大会の打順は6番ながら主軸としてチームメートの信頼は厚かった。「調子が良かっただけに、さすがにショックだった。みんなに迷惑をかけてしまった…」

 決勝戦。五回までに8失点したが、ギプス姿で下級生を盛り立てた。「冷静に分析したり、深呼吸をさせて安心させてやろうと思った」。ベンチに戻ってくる選手には絶えず声をかけ、得意の打撃を生かし的確なアドバイスを送った。

 悔しさが残った大会。それでも、五島卓道監督が「松田のけがが痛かった。甲子園出場ならメンバーに前田のベンチ入りを考えていた」ことを試合後に聞くと、こらえられず涙があふれた。

 「2年生はこの経験と悔しさを忘れないでほしい」。準優勝の銀メダルを首から下げた背番号「16」が去った。