浄土目指した「渡海上人」供養 紀伊、世界遺産の寺で

補陀洛山寺の裏山にある「渡海上人」の墓前で、読経する僧侶=17日、和歌山県那智勝浦町

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する和歌山県那智勝浦町の補陀洛山寺で17日、小舟で海のかなたにある浄土を目指したとされる「渡海上人」と呼ばれる僧たちの供養が営まれた。

 本堂での法要後、裏山にある上人らの墓前で高木智英住職(40)らが読経した。高木住職は「上人信仰を後世に伝えたい。ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍が早期に終息するよう、併せて祈願した」と話した。

 寺によると、平安時代から江戸時代までに、近くの浜から浄土へ向けて20人以上が旅立ったという。存命で舟に乗った僧は、わずかな食べ物と水に明かり用の油を載せ、経を唱え続けたと伝わる。


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