道産子の俳優が東京で熱い舞台 地震被害の地元でも上演へ

舞台「雪虫」の一場面=東京都内

 北海道出身の俳優でつくる演劇ユニット・道産子男闘呼倶楽部が9月、東京・浅草で新作「雪虫」を上演し、人情や郷土愛が混じり合う熱い舞台を見せた。直前に予定していた札幌公演は6日発生の地震で延期に。ユニットは東京公演の収益の一部を義援金に充てるとともに「ぜひ北海道の方に見てもらいたい」と、地元での舞台も実現しようと意気込んでいる。

 「道産子―」は「演劇で北海道を盛り上げられないか」と、東京の人気劇団に所属する犬飼淳治(扉座)、津村知与支(モダンスイマーズ)らが2014年に結成。今回も作・水谷龍二、演出・赤沢ムック、客演に三田村周三、徳橋みのりと北海道出身者で固めた。

 登別の山中を舞台に、元自衛隊員(三田村)、その息子(犬飼)らが織りなす喜劇。「なして?」「ゆるくないよ」とせりふには方言が交じり、ドメスティックバイオレンス(DV)、憲法改正問題や北海道を巡る国際情勢も取り上げられる。

 「部長」の犬飼によると、地震で札幌の劇場に大きな被害はなかったが、セットの運搬や余震への不安から延期を決めた。今後出演者らのスケジュールを調整し、来年にも万全の状態で“凱旋”する考えだ。「北海道各地でワークショップを開いて演劇の楽しさを伝え、過疎化が進む地域の活性化にもつなげたい」。犬飼はその先も見据えている。


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