トルコの民主主義「崩壊」 大統領選の最大野党候補

トルコ北西部テキルダーで、選挙演説を行う野党、共和人民党(CHP)のインジェ議員=18日(共同)

 【イスタンブール共同】6月24日のトルコ大統領選に出馬した最大野党、共和人民党(CHP)のインジェ議員(54)が28日までに共同通信などの取材に応じ、強権姿勢を強める現職のエルドアン大統領がトルコの民主主義を「崩壊させた」と主張。非常事態宣言下での選挙は「公正に行われない」と批判した。

 当選すれば、2016年のクーデター未遂後から続く非常事態を「まず解除する」と明言。司法の独立など、法治国家の「正常化」が必要だとし、欧州連合(EU)加盟を目指すと表明した。

 インジェ氏は元高校教師で02年から国会議員。非常事態下での選挙はエルドアン氏側を利していると主張し、メディア弾圧が強まる中「トルコメディアは自分をインタビューしに来ない。痛々しい状況」と指摘。大統領のことも批判できる「自由な国民育成」が重要だと訴えた。

 トルコは昨年承認の憲法改正により、大統領選と同時実施の議会選後、大統領に実権が集中する制度に移行するが、インジェ氏は現行の議院内閣制に戻すつもりだと語った。内戦が続く隣国シリアには「新憲法が必要」だとし、トルコはアサド政権と対話を行うべきだと主張した。

 CHPは中道左派の世俗主義政党で、初代大統領ケマル・アタチュルクが創設した。大統領選にはエルドアン氏やインジェ氏ら6人が出馬している。


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