被告女に猶予判決 人格障害「社会で更生」 浦安連続通り魔

 浦安市海楽の路上で昨年10月、男女3人が相次いで刺されけがを負った連続通り魔事件で、傷害と銃刀法違反の罪に問われた、近くに住む無職、瓜生裕美被告(33)の判決公判が21日、千葉地裁で開かれ、楡井英夫裁判長は、被害者の傷害結果のほか、瓜生被告の境界性パーソナリティー障害(人格障害)について「社会内での更生の可能性が認められる」などとして懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役4年)の有罪判決を言い渡した。弁護側は同障害が影響したなどとして執行猶予付き判決を求めていた。

 判決で楡井裁判長は「住宅街で無差別に包丁で襲った、相当に危険で悪質な犯行で、被害者の感じた恐怖感や精神的苦痛は甚大」とし、瓜生被告の当時の精神状況について「行動制御能力は十分ではなかったが、元来の衝動性、他責性が絶望感を強め、他害行為に至った。境界性パーソナリティー障害を理由に責任非難を軽減できない」と指摘。

 量刑の理由で楡井裁判長は、「基本的には実刑を中心に検討すべきだが、最も重い傷害を負った被害者との間で示談が成立しており、傷害結果を踏まえると執行猶予も考慮すべき事件」とし「公判前では内省はほぼ見られなかったが、公判時には被害者の痛みや苦しみを理解しようという姿勢が見え、内省を深めつつある」と判示。境界性パーソナリティー障害については「瓜生被告の夫は、事件をきっかけに境界性パーソナリティー障害への認識を深め、辛抱強く監督することを誓っている。今後はより適切な対応、医療的措置が期待できる」と、執行猶予付き判決とした理由を述べた。

 判決言い渡し後、楡井裁判長は「公判での被害者の意見を忘れないように。被害者に手紙を書いた時の気持ちを忘れないでください。あなたには他の人の気持ちを考えることが大切です」と、説諭した。

 判決によると、同年10月18日午後4時半ごろ、持っていた包丁(刃渡り約12・3センチ)で歩道を歩いていた同市の無職男性(51)の背中を突き刺して加療約1カ月の背部刺創のけがを負わせ、約1分後、歩いていた会社員女性=当時(23)=に包丁を振り下ろし、手で受け止めた女性の指に全治約2週間のけがを負わせた。さらに約1分後、自転車の契約社員女性(29)の右脇腹を刺して転倒させ、加療14日間の右腹部刺傷と右足首捻挫のけがを負わせた。

◆犯行、平素の延長上 千葉地裁「責任非難軽減できない」

 浦安市内で男女3人が相次いで刺された連続通り魔事件の公判では、瓜生裕美被告の境界性パーソナリティー障害の影響の程度が焦点となった。この日の判決で楡井英夫裁判長は「人格傾向に基づく、平素の行動の延長線上 ・・・

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