芥川龍之介旧居跡に記念館 東京・田端で計画進む

芥川龍之介の旧居にあった書斎を復元した模型((C)田端文士村記念館)

 東京都北区は、大正時代の日本文学を代表する作家、芥川龍之介(1892〜1927年)が亡くなるまで暮らした東京・田端の旧居跡に、芥川の名前を冠した日本初の記念館を建てる計画を進めている。2023年3月末までの開館を目指し、本年度から設計や展示内容の調査研究に入った。

 芥川は隅田川東岸の本所で育ち、1914年に田端へ移った。ここで書いた「鼻」「羅生門」「河童」などは現在も読み継がれる名作だ。北区は2018年に旧居跡地の約半分を購入し、今年3月には芥川の孫でエッセイストの芥川耿子さんを名誉委員長とする検討委員会から整備構想の答申を受けた。

 北区には、田端に住んだ多くの文学者、芸術家を顕彰する「田端文士村記念館」がある。そこでも芥川の業績が紹介されているため、計画中の記念館では、彼の生きた時代や創作を支えた暮らしの雰囲気を体感できるような展示に力点を置く。客間でもあった書斎をできるだけ忠実に再現し、結婚祝いに夏目漱石夫人から贈られた机をはじめ、愛用した調度品の数々を複製で展示する。

 北区の文化施策担当課によると、状態の良い初版本の入手、各地の文学館や博物館が所有する自筆原稿の複製制作も予定している。また、芥川が聞いたであろう音、家で感じた日差しの変化なども再現し、芥川の周りにあった雰囲気を表現したいという。


  • LINEで送る