測って感じるガウディの美 建築倉庫ミュージアム

 世界遺産サグラダ・ファミリア(聖家族)教会などで知られるスペインの建築家ガウディの作品を実測し、図面を作成するという行為を通じて、その魅力に迫る試みを紹介した企画展「ガウディをはかる GAUDI QUEST」が、東京都品川区の建築倉庫ミュージアムで開かれている。

 ガウディ建築に魅せられ、約40年にわたって独自の手法で実測と作図を続ける建築家田中裕也さんの活動にスポットを当てた。長さ5メートル超の紙に描かれたサグラダ・ファミリアの鐘楼尖塔図をはじめ、実測図やスケッチ70点以上を展示する。

 実測に使うのは小さなメジャー、高い場所を測るための棒など、最低限の道具だけ。田中さんによると、ガウディは自身の歩幅や目線の高さなどを“物差し”にして作品を造っていたという。「同じように自分の体を使って測ることで、彼が作品に込めた哲学、隠されたコードを読み解くことができる」と話す。

 企画展では田中さんが実測を通じて読み取った各作品の設計思想もパネルで紹介。一定の角度で見上げると円形に見えるよう設計された窓など、視覚効果を利用して美しく見せる工夫についても解説している。

 見どころは8年がかりで完成させたというグエル公園の壮大な実測図だ。園内の人気スポット・大階段の実寸大模型もあり、自由に上ったり座ったりすることで「自分の体で測る」感覚を味わうことができる。

 6月30日まで。問い合わせは同館、電話03(5769)2133。


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